
神戸市に本社を置く、1882年創業のナガサワ文具センターが販売する万年筆インク「Kobe INK物語」が、第10回日本マーケティング大賞の奨励賞を受賞した。
「Kobe INK物語」とは、街から見た六甲の山なみをモチーフにした「六甲グリーン」や、旧居留地の街並みをモチーフにした「旧居留地セピア」など、神戸の景色や街並みをテーマに生まれた67色(2018年6月時点・限定色除く)の万年筆インクだ。今回の奨励賞受賞は、神戸市の企業で初(地域賞は2010年にフェリシモが受賞) 、そして文具業界においても初の快挙となる。
「Kobe INK物語」選考理由/低迷市場における新たな価値創造
神戸市に本社を置くナガサワ文具センターが2007年から発売を開始した万年筆用インク商品「Kobe INK物語」は、神戸の「地域の色」をインク色として表現。低迷していた万年筆インク市場で、単一ブランドで年間3万個の生産量を記録した。万年筆市場の拡大ではなく、インクの市場の拡大を万年筆の市場の拡大につなげる逆転の発想をとり、「地域の色」と言う新しい価値が、新たな顧客と新たな用途を生み出すことよって支えられた事例といえる。発売から10年で開発されたインクは、限定色を含め80色以上、日本国内だけでなく米国、豪州、台湾へと出荷が行なわれている。
下火だった万年筆を取り巻く状況が、フェルメール展とのコラボで一変
「Kobe INK物語」を発売し始めたのはちょうどiPhoneの誕生と同時期で、デジタル化が急激に進行。それに伴い文字を書かない人が増え、万年筆を使う人は減少の一途をたどり、インクの売り上げも日に1個程度まで落ち込んでしまう。「Kobe INK物語」はまさに時代に逆行した商品だった。
しかし、2012年にフェルメール展とのコラボ限定色(現在は売切れ)を発売してから、状況が一変。それまでは万年筆が好きな人が手に取る商品だったものが、全く万年筆に縁がなかった人たちもフェルメールがきっかけでまずインクを手に取り、インクを使ってみたいから万年筆を購入するという、逆転の現象が起きたのだ。
東京限定色や10周年記念色も発売
特に海外のからの問い合わせが多かった銀座・伊東屋では昨年2月から「Kobe INK物語」の取り扱いを開始。取り扱いを記念した東京限定色として、神戸人から見た銀座の色である「銀座ゴールドセピア」色が完成した。店舗としては銀座・伊東屋とナガサワ文具各店でだけ購入が可能だ。
また、5月26日にはナガサワ文具センターのコーポレートカラーを万年筆インクカラーとして発売開始。30年ほど前に「クラシカルモダン」をテーマに神戸をイメージしたブルーで、店舗ではPenStyle DENショップでしか手に入らないプレミアムなカラーだ。
関連情報
http://kobe-nagasawa.co.jp/category/originalitems/kobeink/
構成/編集部
こちらの記事も読まれています