
モノが売れない時代といえど、ヒット商品はしっかり誕生している。そこに情熱みなぎる〝イタンジスタ〟がいるからだ。
◆入社1年目から新規プロジェクトに立候補。「当たり前」を覆す
ソニー Startup Acceleration部 wena事業室
對馬哲平さん
1989年生まれ。2014年大阪大大学院工学研究科卒業。ソニーモバイルコミュニケーションズへ。15年に新規事業創出プログラム「SAP」でwena wristを事業化。
《 1億円を集めたスマートウォッチ 》
ソニー『Wena Wrist』
バンド部にスマートウオッチ機能を詰め込み、スマホへの電話着信、メールの本文などを振動とともに表示。Felicaでの買い物にも対応。ヘッドとバンドは別売で、好きなブランドの時計を組み合わせることも可。『wena wrist pro』オープン価格(実勢価格約3万5000円)。
どこを切っても〝異端〟である。『wena wrist』開発者の對馬(つしま)さんのことだ。まず発想が異端。スマートウオッチなのに時計部分にその機能ゼロ。バンドにすべてのメカを搭載させた。しかもコレは入社直後、新規事業創出プログラムでプレゼンし、採用されたもの。新入社員作、なのだ。
「ただ僕は昔からずっと欲しかったモノだから」(對馬さん)
小学生時代からガジェット好きでPDAなどを改造する日々。中でもスマートウオッチにハマった。でも、「つけるだけで気持ちが高ぶるのは機械式時計だった」と言う。
「だから大学時代はスマートウオッチと普通の時計を両手につける2つがけ生活。ただ周囲からは『おかしい』と(笑)。ならこの機能×情緒の両方を満たせる時計はつくれないかと考えてソニーへ」
個の強烈な思いこそ、ほかの誰かの心を強く共振させるものだ。
『wena wrist』は2016年、クラウドファンディングで2000人以上の支援者から1億円超を調達した。
「まだまだ。あと2、3回は世界を驚かす機があるはず。狙います」
大学時代から「欲しい」と描いていた設計図。「最初はバンドのひとつひとつに違う機能を入れたかったんです」
文/編集部
※記事内のデータ等については取材時のものです。