■ペーパーナイフに技術力を
「じつは、澤田さんに見てほしいペーパーナイフがもうひとつあります」
熊田氏はそう言って席を立つと、あるものを手に戻ってきた。
「このペーパーナイフは、はっきり言って箱が地味だからあまり注目されることはありません。けれど、使ってみたらものすごい役に立つものなんですよ」
熊田氏が語気を強めてそう語る、このペーパーナイフ。
見た目は壁を塗るためのコテにも似ている。ハンドルが途中で斜傾しているため、刃の角度を抑えた状態でのカッティングも容易だ。
だがそれよりも、このペーパーナイフの刃はたわむのだ。金属とは思えないほどの高い柔軟性を有している。
「名刀ペーパーナイフは外見重視のものですが、これは本当に実用製品です」
この企業が製造しているのは、つまるところ「生活必需品」である。ハサミを持っていない、という家はないだろう。ハサミにはあらゆる種類のものが存在するが、高水準の技術レベルで提供し続けていることに、企業としての存在意義がある。
先述のシャープにしても、決して奇をてらった製品を開発しているというわけではない。その根幹となるテクノロジーに自信があるからこそ、あらゆるアイデアを詰め込むことができるのだ。
■3本セット1万円
さて、名刀ナイフはMakuakeのキャンペーンページで出資を、執筆時点(2018年4月中旬)で募っている。
1本が3500円、3本セットは1万円という価格設定だ。少し前まではより安価の枠が存在したが、そちらはすでに締め切られている。
部屋のちょっとしたインテリアにもなるこの製品。だが、そこには高度な技術力が注入されていることも忘れてはいけない。
【参考】
新選組隊士に想いを馳せる!関刃物職人による『名刀ペーパーナイフ新選組モデル』-Makuake
ニッケン刃物株式会社
取材・文/澤田真一