
ひとくちに「ナイフ」といっても、様々な種類のものが存在する。
この記事で取り上げるのはペーパーナイフだ。
日本人にとって、ペーパーナイフはあまりなじみのないものかもしれない。これは手紙に封をするという習慣が昔から根付いている欧米の発想に基づいたものである。その上、近年のデジタル化の波はペーパーナイフを影の薄い存在にしつつある。
封書の口をペーパーナイフで切る、という光景は確かに少なくなっている。
■刀剣女子が情報を拡散
そんな中、クラウドファンディング『Makuake』で巨額の出資を集めたペーパーナイフがある。
岐阜県関市のニッケン刃物が開発した『名刀ペーパーナイフ』というものだ。
これは歴史上の人物が愛用した刀を再現したもので、その第2弾のプロジェクトがMakuakeに公開された。新撰組の近藤勇、土方歳三、沖田総司の愛用した刀をモチーフにしたペーパーナイフだ。
目標金額50万円に対して、すでに530万円分のプレオーダーが集まった。しかも、この時のキャンペーン公開期限はまだ54日残っている。
これは注目すべきプロジェクトだ。だが、やはり開発者に取材をしてみないと始まらない。筆者はニッケン刃物の本社へ足を運んだ。
「女性の間で巻き起こった刀剣ブームがまだ残っていたのが、本当に幸運でした」
そう語るのは、同社専務の熊田祐士氏。『名刀ペーパーナイフ』のプロジェクトを率いる人物である。
「この製品に関する情報をTwitterへアップしたら、たくさんの女性が拡散してくれました」
いわゆる「刀剣女子」の存在は、極めて重い。しかも新作は、昔から女性人気の高い新撰組がモチーフである。
「今回のプロジェクトでは、以前から要望の多かった掛台を製作しました」
熊田氏は説明しつつ、名刀ペーパーナイフをミニチュアの掛台に置く。まさに日本刀をそのまま縮小させたような光景だ。