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デュエル、タテへの意識、タブーなき競争原理、ハリルホジッチの残した遺産とは?

2018.04.25

■本田、香川を外す!タブーなき競争原理

ハリルホジッチ監督がもたらしたもう1つ大きなものは「競争」だ。ザックジャパン、アギーレジャパンを通して、本田圭佑(パチューカ)や香川真司(ドルトムント)らが主力が固定されていた。その既成概念を打ち破ったのが、ボスニア人指揮官の大胆さだ。

 16-17シーズンのACミランで出番を失い、代表でのパフォーマンスが低下した本田を最終予選後に外し、クラブでコンスタントに試合に出ていなかった香川も昨年11月のブラジル(リール)・ベルギー(ブルージュ)2連戦で選考外とするなど、これまでの監督だったらできなかったことを彼はやってのけたのだ。

 それには賛否両論も渦巻いたし、看板不在の代表人気に陰りが見えたのも事実だ。が、そうやって思い切ったアプローチをしなければ、世代交代が進まない。本田が担っていた右サイドのポジションには2016年リオデジャネイロ五輪世代の久保裕也(ヘント)や浅野拓磨(シュツットガルト)が台頭。西野体制に代わった今は南野拓実(ザルツブルク)や堂安律(フローニンゲン)推す声も高まっている。そういう流れを作ったハリルホジッチ監督の功績はやはりある。

 しかも、本田や香川も自らを変えようと努力を試みた。本田はパチューカに行ってからトレーニング方向を見直し、体重を落としてアップダウンを繰り返せる肉体を作ったし、香川もこれまでは代表への熱い思いをあまり前面に押し出さなかったのに、11月2連戦と3月2連戦の4試合全てを現地まで足を運んで観戦するほどロシアへの強い意思を示している。そうやってメンタル的に成長した香川がチームをまとめるようなキャプテンシーを本番で発揮してくれれば、西野監督も万々歳ではないか。彼らが一皮むけるチャンスを前任者が与えたことは心に留めておくべきだ。

 もちろん、クラブで試合に出ていた岡崎慎司(レスター)や武藤嘉紀(マインツ)を呼ばなかったり、逆にあまり出場機会を得ていないのに寵愛する宇佐美貴史(デュッセルドルフ)を繰り返し呼ぶなど、選考基準の不透明さも垣間見えた。そこはハリルホジッチも批判されてしかるべき。ただ、基本的には「クラブで試合に出ていない人間は呼ばない」というポリシーを守ろうとしていた。こういった明確な指標があれば、代表入りを狙う人間もより日々のクラブでの一挙手一投足にこだわるはず。そういう意識の高い選手が増えていくことが、強い日本代表強化を作る絶対条件だ。選手たちには前指揮官からうるさく言われたこともしっかりと糧にしてほしいものである。

 ヴァヒド・ハリルホジッチ/ネガティヴな側面ばかりクローズアップされるが、その功績も多い。先日空港では涙を浮かべた前監督、27日の記者会見は予断を許さない。

撮影/藤岡雅樹(小学館写真室)

元川悦子<もとかわ えつこ> 
長野県松本深志高等学校、千葉大学法経学部卒業後、日本海事新聞を経て1994年からフリー・ライターとなる。日本代表に関しては特に精力的な取材を行っており、アウェー戦も全て現地取材している。ワールドカップは1994年アメリカ大会から2014年ブラジル大会まで6大会連続で現地へ赴いている。著作は『U−22フィリップトルシエとプラチナエイジの419日』(小学館)、『蹴音』(主婦の友)『僕らがサッカーボーイズだった頃2 プロサッカー選手のジュニア時代」(カンゼン)『勝利の街に響け凱歌 松本山雅という奇跡のクラブ』(汐文社)ほか多数。

■連載/元川悦子「ロシア戦記」

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