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2018.04.25

デュエル、タテへの意識、タブーなき競争原理、ハリルホジッチの残した遺産とは?

■連載/元川悦子「ロシア戦記」

 4月7日に電撃解任された日本代表のヴァイッド・ハリルホジッチ前監督が21日に再来日。涙ぐみながら「私はまだ終わっていない」と語り、いまだ現実を受け入れられない様子を見せた。

 27日には記者会見を行う予定だが、2か月後の2018年ロシアワールドカップ本大会での指揮はもはや不可能だろう。本人もやり場のない思いでいっぱいのはずだ。

 日本サッカー協会の田嶋幸三会長は「選手との信頼関係、コミュニケーションが多少薄れた」と更迭理由を説明したが、3月のマリ・ウクライナ2連戦(リエージュ)での1分1敗という結果と内容の悪さは確かに目を覆いたくなるほどだった。昨年8月31日の最終予選・オーストラリア戦(埼玉)でロシア切符を獲得した後のテストマッチで指揮官が目指した「デュエル(フランス語で決闘。局面のバトルを指す)」と「タテへの速い攻め」というコンセプトが機能せず、停滞感が漂っていたのも事実だ。

 だからと言って、ハリルホジッチ監督の志向したスタイルが完全に間違いだったのか。その答えは「ノー」である。

 振り返ること4年前。アルベルト・ザッケローニ監督体制の日本代表はパスサッカーを掲げて2014年ブラジルワールドカップに挑んだ。が、初戦・コートジボワール戦(レシフェ)と最終戦のコロンビア戦(クイアバ)ではボールを持つどころか、相手を奪うことさえままならず、前提条件が大きく狂った。第2戦のギリシャ戦(ナタル)は相手に退場者が出て、数的優位に立ったこともあり、ボールは回せたものの、各駅停車のパスでは強固な守備ブロックを崩しきれなかった。つまり、彼らは目指してきたパスサッカーの限界を痛感させられたのだ。

 1分2敗と惨敗した大会の反省を踏まえ、当時の原博実専務理事(現Jリーグ副理事長)と霜田正浩技術委員長(現山口監督)が「ボールを奪う部分」と「タテへの推進力」という日本に足りない部分に着目。そこを補える指揮官としてハビエル・アギーレ、ハリルホジッチの2人の招聘に踏み切った。アギーレ監督はわずか半年で辞任するに至ったため、何をもたらしたかは検証しきれないが、ハリルホジッチ監督は間違いなく守備の重要性を知らしめた。

「強い相手に攻撃をするためには相手からボールを奪わなければいけない。ワールドカップで勝ちたいならそこは必須の要素。ヴァイッドは守備の文化を植え付けた」と霜田氏も語っていた。

 弱者である日本はまず守備から入り、相手のスキを突いてゴールに向かうべきという考え方は一理ある。実際、ブラジルワールドカップで8強入りしたコスタリカ、2016年欧州選手権(フランス)で初出場ながらベスト8入りしたアイスランドなどは堅守速攻を突き詰めた戦術で躍進を遂げている。ハリルホジッチ監督が4年前に率いたアルジェリアもそう。そういう例は少なくないのだ。

「アルジェリアは身体能力が高いんで、監督が求めるデュエルの部分とかタテに速いサッカーは日本よりやりやすかったかもしれない」と長友佑都(ガラタサライ)は前体制の難しさを吐露した。その一方で「日本人も絶対にやれると思うし、それプラス、日本人の協調性とか一体感をプラスアルファできれば、ワールドカップで何かを起こせるかもしれない」と希望も抱いていた。それは川島永嗣(メス)ら欧州トップレベルで戦っている面々に共通した考えだったかもしれない。

 けれども、国内組の中には「日本人と外国人選手とは身体能力が違いすぎるから、あのサッカーはできない」とネガティブ発言をした者もいて、代表選手全員の思いが一致していない印象も拭えなかった。Jリーグやアジアチャンピオンズリーグ(ACL)では日本勢が主導権を握ることが前提だから、相手に持たせてカウンターというスタイルは受け入れがたいだろうが、本当にワールドカップで躍進したいならハリル的な考え方にもトライしていく必要があったはず。西野朗新監督がその問題点から逃げて、安易にザック流のサッカーに戻るのなら、この4年間一体、何をやっていたのかという話になってしまう。

「デュエルやタテへの攻撃は間違いなく必要。ただ、日本化した日本のフットボールというものもある。技術力を最大限に生かし、規律や結束を図って戦う強さがある」と就任会見でハリル流と日本流の融合を誓った新指揮官には、その言葉を貫くべき。自らの発言に責任を持ってチーム作りをしてほしい。

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