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同性ならではの技!?昨年度のベスト初恋映画『君の名前で僕を呼んで』

2018.04.29

 イギリス・プレミアが開催された昨年のロンドン映画祭での会見に、グァダニーノ監督はティモシー、アーミーらキャストとともに登場。

 この時はまだアカデミー賞ノミネート発表さえ3か月も先だったが、前述の通り、結果的に脚色賞を受賞することとなった脚本の方向性、アンドレ・アシマン同名小説からどう発展させたかを語った。

「アシマンの本では回想の形になっています。その出来事から何年も経た時点からです。私がこの映画でやろうとしたことは、その場に彼らとともにいること、彼らが暮らす環境の中にあることです」と切り出した監督は、さらに内幕を明かした。

「やろうとしなかったことは、こういう映画はこうあるべきということです。実際、映画の資金面をお願いした人の中には、映画が原作から期待される思春期ドラマ、さらに言えばゲイの思春期ドラマではないという理由で断った人もいました。この映画は、実人生で起こること、誰かの目を通して自分自身を発見することを描いています」。

 その試みが成功した。明るい夏の日差し、プールの水の感触、みずみずしい果実…たとえイタリアで夏を過ごした経験が無くとも、それぞれが持つ夏の思い出にどこかで重なり、気がつけば、すんなりとそこに入っている。

「あの場所が映画を形作っていると思います。2、3週間前から行くことができて、後から来たアーミーを町のあちこちに連れて行く役の上での関係にも役立ちました」とティモシーはいう。

 観るうちに呼び起こされる郷愁めいた夏の感覚が起爆剤となり、揺れ動く不安な心と裏腹の激しい衝動、焦がれる思いと消え入りたいような心細さ、相反するものの間できりきり舞いする恋の感覚まで染み入ってくる。

「この映画には例えば怪物とか様々そらすものがないので、完全にはぎ取れらたような状態で頼りないままの真正直なお互いに対する感情的な容量を表し続ける。パフォーマーとしてそれができる力量があるのか、不安を感じました」というアーミーは、「ルカ(・グァダニーノ監督)にそれを話しました。そして、挑戦のある、成長することを強いられる映画を選ぶことができるのかと自問しました。踏み出せたことに、これ以上ないほど感謝しています」と語った。

 美しい夏のイタリアで育まれる恋に素直に寄り添っていけるのには、2人を囲む人々の柔らかさも一役買っている。

 もちろん秘められた恋心、どこまでわかっているのか定かではないが、エリオがオリヴァーを慕う様子を微笑ましく見守る母だ。そして後半、父がエリオに語る話には、そこまでの父の様子を振り返らずにはいられない驚きがある。

 涙を流すエリオのアップがずっと続くエンディングには、ストーリーが終わったとわかりつつ、にわかには立ち去れず、座席に釘付けにされてしまう。

 ゲイリー・オールドマンにさらわれたアカデミー主演男優賞だが、そんな大ベテランとともに年若いティモシーがノミネートされたことも、エンディング・シーンだけで納得させるほどだ。

 忘れがたい印象を残すこの映画、グァダニーノ監督が続編を計画していることも明らかになっている。

文/山口ゆかり

ロンドン在住フリーランスライター。日本語が読める英在住者のための映画情報サイトを運営。http://eigauk.com

■連載/Londonトレンド通信

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