
■連載/ゴン川野の阿佐ヶ谷レンズ研究所
■Introduction
FUJIFILMのミラーレスと言えば『X-T2』そして『X-T20』である。どちらもペンタプリズム風のEVFの頂点がフラットでフジカの一眼レフ『ST801』を思わせるレトロなデザインである。さらにインターフェイスも銀塩時代の一眼レフっぽいのが特徴だ。例えばモードダイヤルがなく、シャッター速度をAにすれば絞り優先で絞りダイヤルを回して絞り値を選べる。絞りダイヤルの切り換えをAにするとシャッター速度優先になる。両方をAにするとプログラムAEになるなんて面倒くさいよと私は思うのだが、なぜかFUJIFILMはこの方式にこだわっている。電源OFFでもカメラの設定状態が一目で分かるためだと思うが、そもそもEVFをのぞけば絞りもシャッター速度もISO感度もすぐ分かるのだから、その必要性を私は感じないのだが。新製品の『X-H1』では、露出補正ダイヤルが省略され軍艦部に情報表示用液晶画面が設置された。ご丁寧にここには電源OFFでも露出補正値が表示される。
■Design
カメラは従来の『X-T2』より、やや大きめになり、特にグリップが大型化された。重量はT2の約507gから約673gへと重くなっている。私の印象ではT2がやや小振りだったので、『X-H1』が普通のサイズに思える。ちなみに私が使っているOLYMPUS『OM-D E-M1 Mark II』の重さは約574g、SONY『α7 III』は約650g、LUMIX『G9 PRO』や約658gである。こうして比較するとやはり重い。まあFUJIFILMの単焦点レンズは重量級が多いのでレンズを付ければバランスはいいと思うが、小型軽量というミラーレスのアドバンテージに逆らうカメラである。
ボディが大きく重くなった理由はグリップ感を向上させるためだけではなく、マグネシウム合金のボディーの厚みを25%アップして、従来の2倍の堅牢性を実現、衝撃やひねりなどの変形に強い構造になった。また、ボディーに5軸手ブレ補正機能を内蔵したこと。FUJIFILMとしては、他社のミラーレスと比較した場合、手ブレ補正機能内蔵はマストだったと考えられる。
『X-H1』の5つのポイント。ボディー内手ブレ補正内蔵が目玉だ!
鏡面仕上げのスレンレス合金とセラミックボールを使った高精度の手ブレ補正ユニット。
センサーを載せるステンレス合金のベースの表面平滑性は0.05μ以内に抑えられる。