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「女性の役員・管理職を増やそう」議論の問題点

2018.02.23

Q わずか数年で欧米先進国に追いつくかのようなことを語る識者もいます。

 私は、女性の管理職や役員の全従業員に占める比率が、欧米先進国のトップレベルの国に追いつくのは25~30年後になるだろうと思っています。この時点が、ある意味での完成形になるはずなのです。

 まず、目に見えるような変化が訪れるのは約10~15年後かと思います。それは今の22~27歳が、特に大企業で管理職(この場合は、課長)の適齢期である30代後半~40代前半になる頃です。

 多くの大企業で、男女が人事の面である程度、分け隔てなく扱われるようになったのは、ここ5~6年です。新卒の採用者数における男女の比率や入社後の配属、ジョブローテーションや配置転換、人事異動、管理職になるための研修、人事評価、昇進・昇格、日々の指導・育成などです。厳密に言えば、今も男女間に差はあるかもしれませんが、大きな傾向として、かつてのような差はないと言えます。

 ここ5~6年、特に大企業では、有給休暇の消化率、残業時間の削減をはじめとして労働時間でも男女の差は減っています。ただし、育児・介護休業など長期休業を申請するのは、依然として女性が中心です。このあたりは、課題を残しています。

 しかし、少なくとも今の30~50代の女性社員とは明らかに異なる環境に20代の女性社員はいるのです。20代の男女の社員には、就労において性別の意識はあまりないのかもしれません。「男女の差がない中で働く」という意識づけが、各大企業や企業社会である程度行われているからです。

 ここ5~6年に特に大企業に入社した20代が、30代後半の管理職になる適齢期になったとき、男女の比率がほぼ同率になるはずなのです。それが、10年~15年後になります。

 この時点では、企業社会全体としてはまだ、発展途上です。その上の世代がいるからです。今の20代よりも上の世代、つまり、現在の30~50代が今後、定年退職などを迎え、しだいにいなくなります。

 一方で、今の20代よりも下の世代が成人し、会社員となります。おそらく、「男女の差がない中で働く」という意識づけをより一層強くされた世代でしょう。

 今の20代が、40代後半になる20年後から、50代後半になる30年後にかけて、女性が管理職だけでなく、役員でも一定数占めるはずです。この時、管理職や役員の男女の比率はほぼ同等になるのだろう、と思います。

Q 大企業では、30~50代の女性の総合職はたくさんいます。

 おそらく、この女性たちは様ざまなハンディを負いながら、懸命に仕事をされているのだろう、と思います。しかし、不幸なことに、この世代は今の20代のような意識づけが十分にされない中、この10~30年いたのです。

 企業社会や多くの大企業が、女性の管理職や役員を増やそうとして様ざまな試みをしてきたわけではありません。配属、配置転換、人事異動、研修、人事評価などを通じて、女性社員を男性と同等に扱い、昇格できうる道筋を明確につけてきたわけでもないのです。有給休暇の消化率を上げることや残業時間の大幅削減なども徹底していませんでした。

 このあたりは女性社員に限りませんが、労働生産性がさほど上がらず、賃金も本人が期待するほどに上がることもない中、長時間労働をせざるを得なかったのです。

 このような状況で管理職になり、全国転勤を受け入れ、しかも、プレイング・マネーャーとしてフルに働くことに抵抗感を持つことはある意味で仕方がないことです。

 本来、こういう環境や働き方を女性社員の実態や実情に即して変えることこそが急務なのです。女性の管理職や役員の比率はこのような環境を整備しつつ、定着・育成を計画的に段階的にしていけば、おのずと上がるものなのです。わずか数年で比率を意図的に強引に変えようとすることは、いびつなとらえ方に思えます。

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