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スバル、百一年目の創業〜中島飛行機からスバルへ。 受け継がれたのは人命尊重

2018.02.27

【スバル、百一年目の創業〜中島飛行機からスバルへ。 受け継がれたのは人命尊重】昨年、創業から百年を迎え、自動車と航空宇宙事業におけるグローバルブランドとして成長を続けるスバル。無資格検査問題を経て、一時は信頼を失いかけ、現在は信頼回復に努めているが、同社ほど持ち主に愛されている自動車メーカーはなかなかない。同社の根底に流れるこだわりとその哲学の原点に迫る。

スバルの歴史

◎スバルの歴史

 スバルの前身は中島飛行機という航空機メーカーだ。創業は1917年。第1次大戦末期で、ロシア革命が起こり、ソビエト政権が成立した年である。この年、日本はロシアに共産党政権が誕生したことに危機を感じ、翌年、シベリアに出兵する。平時とは言いながらもきな臭いにおいがする時代だった。

 そうした時代、創業者、中島知久平(ちくへい)は同志6人と日本で初めての民間航空機製造会社を設立する。ライト兄弟が動力飛行機で空を飛んだのは1903年。中島はそれからわずか14年後に日本初の航空機会社を創設したのだ。彼の会社、中島飛行機は『隼』『疾風』といった戦闘機を開発し、「東洋一の航空機製造企業」と呼ばれた、1940年代には26万人の従業員を擁していたほどである。

 海軍機関学校を卒業し、飛行機の設計者だった中島知久平が航空機開発でスピードや旋回性能よりも重視していたのが、搭乗者の安全だった。パイロットの命を守る飛行機が最もいい飛行機だと信じていたのである。

 創業から10年たった時、中島飛行機は帝国陸軍の次期主力戦闘機の開発を担当するコンペに名乗りを上げた。まだ国内の技術はそれほど進んでいなかった。そこで、コンペに勝つためにフランスの航空機メーカー、ニューポール社から開発技師、アンドレ・マリー技師を招いたのである。一方、ライバルだった三菱内燃機製造(のちに三菱重工)と川崎造船所飛行機科(のちに川崎航空機工業)はドイツから技術者を呼んだ。

 招聘に当たり、知久平が選んだ観点は技師がどういった点を重視して設計するかにあった。フランスの航空機メーカーはすでに搭乗者の安全を重要視していたため、知久平はそれを知ってマリー技師に白羽の矢を立てたのである。

 マリー技師は当時、中島飛行機の設計技師だった小山悌(やすし)に仕事を教えた。小山は零戦を設計した堀越二郎と並ぶ優秀な技術者で、しかもフランス語に堪能だった。小山はマリー技師と毎晩、酒を飲み、フランス民謡を歌っては、合宿生活で飛行機の設計を教わったが、マリー技師の哲学は知久平と同じく、人命尊重だった。

 現在、スバルで技術開発センター長をしている若井洋氏は「小山をはじめとする技術者が教わったのは徹底的な人命尊重主義でした」と語る。

「マリーさんはとにかくパイロットの命を守る設計が大事だと教えたのです。戦闘機だから空中戦があります。機体を撃たれることもある。機体自体も貴重なものだけれど、パイロットはさらに貴重だというのがマリーさん、ニューポール社、フランスの考え方でした。確かにいくら機体だけが残っていても、熟練のパイロットがいなければ飛行機を飛ばすことはできません。

 そこで設計では、燃料タンクの中をゴム引きにして、撃たれてもすぐに燃料が燃えないようにしたり、あるいは機体の材料を燃えにくいものにしたりといった工夫を重ねました。パイロットの背中に鉄板を配置して、背後から撃たれてもパイロットに弾が貫通しないようにもしました。

 中島飛行機はこうした技術を常に重視しながら、実設計に採り入れたのです。戦後、米軍が評価した記録があるのですが、『ナカジマの飛行機は撃っても、撃っても落ちない』と記されています。

 つまり、マリーさんから教わったのは搭乗者の人命を守る機構をつけること。これは、中島飛行機からスバルになった今でもずっと引き継がれています」

 ドイツから技師を呼んだ会社は戦闘機のスピード、機銃の充実といった攻撃力に重きを置いたのに対し、フランス風の設計思想を信奉した中島飛行機は「安全」をキーワードにしたのである。

■「水平対向エンジン」を生んだ設計思想

「水平対向エンジン」を生んだ設計思想 01
「水平対向エンジン」を生んだ設計思想 02

スバルの代名詞とも言える「水平対向エンジン」でも安全が最優先されている。エンジン本体の全高が低いため、衝突時にエンジンが車体下へ落ち、車室内へエンジンが入り込むことがなく、乗員を守る役目を果たす。

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