■ビットコインが儲かりそう? あなたはなぜ値上がりするか説明できますか
さて、仮想通貨の基本的な考え方はさておき、ほとんどの人の注目点は「それが儲かるかどうか」というポイントでしょう。
1ビットコインの価格は、2017年11月下旬月あたりから急上昇を始め100万円を突破、2017年12月7日に150万円まで切り上がると、なんと8日には一気に200万円を超えました。これだけ急カーブで値上がりすると、「これは儲かりそうだ」と群がる人も出始めているようです。
しかし乱高下も相当なもので、この原稿を書いていた時期に220万円前後から140万円前後までわずか3日で下落しました。割合にして37%の下落、という普通ではあり得ないレンジでの急落が起きました。そのあと190万円まで一気に戻したものの、不安定な値動きが続いています。
もし、最高値であなたが100万円を入金、2500万円分のビットコインを買っていたとしたら、残念ながらあなたの100万円は瞬殺で消えていることになります(2500万円で買ったビットコインの価値が40%下落したということは1000万円のマイナスが出たということで、元手100万円をすべてなくす直前に強制決済される)。
あなたがもし、ビットコインが今値上がりしている理由をあなたなりに説明できないのなら、取引に手を出すべきではありません。
値上がりの理由を説明できないということは、値下がりの理由も説明できない、ということです。そんな状態で為替取引で儲けようとしても、飛んで火に入る夏の虫です。
■為替レートは成長するわけではない
為替取引については、仮想通貨に限らず円やドルなどの通常の通貨でも行われます。いわゆるFX(外国為替証拠金取引)です。FXも簡単にお金が稼げる手段のようにCM等で紹介されていますが、FXは本質的には「投資」ではなく、「投機」的なものです。
あなたと誰か別の人が、ある為替の交換レートについて、反対の立場でどちらも有利と考えるから為替の売買は成立します。常に誰かの買いと誰かの売りはセットです。
しかしその後の推移によっては、どちらかが得をし、どちらかは損をすることになります。これをゼロサムゲームであるといいいます。合計したらプラスマイナスゼロということです。
(なお、マイナスになった人は長く保有してプラスを待つこともできるが、資金額が少ない素人ほどその余裕がなく損だけ残すことになる)
実は株式投資においては、買った人と売った人のどちらもプラスになる可能性があります。経済は長い目で見て成長していく、つまりプラスサムだからです。
「ここまで値上がりしたのでもう売ってもいいかな」という人が売り、「もっと値上がりする可能性があるから買ってもいいかな」という人が買えば、売った人はそこまでの値上がり益を手にし満足し、買った人はその後の経済成長があればさらに利益を手にすることができます。株価の値上がりだけでなく、株主優待や配当(株価の1.5%くらいが平均的な配当利回り)があった場合、株価がほとんど変わらなくても利益が出ることもあります。
しかも、投資した企業が世に放った便利な新商品、投資をした自治体が行った社会インフラの充実などにより、投資家以外の人々もプラスになっていく効果もあります。
しかし、為替には世の中を成長させる仕組みはありません。あくまで換算レートに過ぎないからです。スラムダンクの安西先生ではありませんが「まるで成長していない……」のが為替なのです。