人気のタグ
おすすめのサイト
企業ニュース
2018.01.09

不愉快になる相手はスルーしなさい

■このレベルの上司だから、あのレベルの部下

 相手を突き放して見ると、見えるものがある。それは、私と組んだ30代前半までの編集者のほぼ全員がひとりで仕事をしていたことだった。つまり、上司にきちんと報告や相談をすることなく、独自で判断し、原稿の整理などをしている。しかも、この数年のことではなく、20代前半の頃からだった。この人たちの仕事のレベルが概して低かったのは、約10年間でいわゆる「PDCAサイクル」(PDCA cycle、plan-do-check-act cycle)が回っていなかったからだ。特に上司から「check」を厳しくされていない。

 私は、この編集者ら10人ほどの上司と年齢が近い。そのようなこともあり、上司である役員、部長、編集長と食事をしたり、酒を飲んだ。信じられないことだが、このような出版社では、「最低限度のレベルの人材育成」すらしていない。たとえば、編集者が取材先を選ぶときに、上司である部長らと部下である編集者が徹底して議論をしていない。あるいは、原稿をめぐり、双方で深い議論をしていない。

 率直なところ、編集者10人ほどのレベルは相当に低かった。一流といわれる出版社の編集者の同世代のレベルの半分以下だ。いや、3分の1以下かもしれない。それほどに人材育成や指導ができていない。ある意味で、「育成を放棄しているかのような職場」だった。さらに信じられぬことに、前述の編集長や編集部長、役員らに「なぜ、育成をしないのか」と聞くと、「自由がいいから」「(部下の)拘束はしたくない」などと答える。私は、あきれるばかりだった。こういう会社が実在するのだ。

 このレベルの上司だから、あのレベルの編集者にしかなれないのだ。そんな会社と仕事をしている私もそれなりのレベルなのだろうが。私は、ある考えを持つにいたった。「こんな人たちの言い分を真に受けていたら、こちらの精神がもたない。適度にスルーしよう。深入りをするのをやめよう」。

 個人事業主をすると、発注者である出版社にある程度の気を使うが、ふっきれたのだ。「このレベルの相手と縁が切れても、一向にかまわない」。すると、30代前半までの編集者を「根本的にわかっていない」と割り切れる。この人たちが、何を言ってきても不愉快にはならない。「わかっていない人をわからせようとするから、トラブルになる」のだ。上司らと食事をしても、「部下の育成を放棄したダメな連中」とクールに見ることができる。仕事も「しょせん、お金のため」と割り切り、淡々とこなすことができる。ついに、私の心は晴れるようになった。

 最後に…。私が手にするビジネス雑誌やビジネス書には、「相手と徹底してコミュニケーションをしよう。そうすれば分かちあえる」という意味合いのことが書かれてある。しかし、仕事はそれほどに甘いものだろうか。そこまで無理をしなければいけないだろうか。私は、こう言いたい。「あなたが不愉快になるような相手とは深入りをしないほうがいい。スルーしなさい」。それこそが、実はいい仕事をすることになるのだ。

文/吉田典史

ジャーナリスト。主に経営・社会分野で記事や本を書く。近著に「会社で落ちこぼれる人の口ぐせ 抜群に出世する人の口ぐせ」(KADOKAWA/中経出版)。

■連載/あるあるビジネス処方箋

@DIMEのSNSアカウントをフォローしよう!

DIME最新号

最新号
2019年7月16日(火) 発売

DIME最新号の特別付録は超強力なUSBモバイル扇風機!大特集は「夏の新製品辛口評価テスト」!

人気のタグ

おすすめのサイト

ページトップへ

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標(登録番号 10401024号)です。詳しくは[ABJマーク]または[電子出版制作・流通協議会]で検索してください。