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「銭湯」「扇子」「だるま」意外と知らない関東と関西で違うもの

2018.01.02

『くらべる東西』

 もう20年近く前のことになるが、確か京都で銭湯を利用する機会があった。そのとき驚いたのが、湯船が浴場の真ん中にあったこと。銭湯の湯船は浴場奥の壁際にあるのが普通だと思っていた、東京出身の筆者にとって、この光景は驚き以外の何物でもなかった。その後、西日本ではこれが一般的だと知ってさらに驚いたことは言うまでもない。

 狭いと思われる日本でも、地域が変われば文化や風俗は違うもので、意外と広いと実感させられる。このように、東(主に関東)と西(主に関西)の文化や風俗の違いをまとめたのが、『くらべる東西』(東京書籍)である。

 本書で紹介している東と西の違いには、筆者が実際に見た銭湯をはじめ、いなり寿司やぜんざい、ねぎ、といった有名なものから、座布団、消防紋章、扇子、骨抜き、といったマニアックなものまで幅広く網羅。一組の「くらべる東西」は4ページで紹介。最初の2ページは東西両者の写真、残り2ページでそれぞれの特徴の解説や関連した情報を掲載している。

 写真主体でテキストが少なめなので、楽に1日で読み終えられる。それに、テキストはとくに読まなくても、違いだけは理解できる。とはいえ、撮影ウラ話のようなコラムも適宜挟まれており、読ませる工夫も随所に。各地の文化や風俗に興味・関心がある人にとっては、たとえ既知のことがあったとしても、面白く読めるだろう。

■日本は地域食豊か

 東西で違うものをそれぞれ比較している本書だが、ただ単に違いを見せているのではなく、そうなった背景や現状にも言及している。中には、どちらか一方が少なくなりつつあるものもあって、ちょっと考えさせられた。

 その一例が扇子。東の扇子は骨が少ないのに対し、西の扇子は骨が多いのだが、次のような解説が添えられている。

「西の京扇子は扇骨(せんこつ)と呼ばれる扇の骨が35本あるのが一般的。これに対して東京で作られる江戸扇子は15本が一般的と、扇骨の数が東より西が多いのが特徴になっている。また、京扇子は分業制で作られているのに対して、江戸扇子は30近い工程のすべてを1人で行なっている。そのため、修行に時間がかかることもあり、江戸扇子の作り手はとても少ないのが現状だ」(p92)

 東西の違いから、江戸扇子は後継者が不足しており、このままだと廃れてしまう可能性まで推察される。もし江戸扇子を手に入れる機会があれば、それは非常に貴重なことであり、大切に使おうという気になるだろう。

 また、だるまのように、関東と関西だけに留まらず、日本各地での違いに言及した例も本書では見られる。だるまといえば、選挙で当選したときに黒目を入れることからわかるように、黒目がないものをイメージする人が多いだろうが、このタイプのだるまは東のだるまらしい。そのこと自体はじめて知ったが、では、関西を始めとしただるまはどうなっているのだろうか?

「日本で広く愛されている『だるま』にも、関東と関西の違いがある。(中略)『目なしだるま』は関東に多いもの。これに対して関西に多いのは、頭に鉢巻きをしたものだ。また、女性がモデルの『女だるま』は四国や九州に多く、山梨県の甲府市には白いだるま、宮城県の仙台市には顔の周りが群青色のだるまが存在するなど、実に地域色豊かなのである」(p114)

 鉢巻きをしただるまは、まず関東では見かけない。女だるまや群青色のだるまも同様だ。これだけで、日本は広いと実感できないだろうか。

 文化や風俗などの違いは地域色とも言い換えられる。違いが多ければ多いほど、その国の文化・風俗は豊かな色彩を持っているということになる。そういう意味から言えば、だるま一つとっても地域によって様々な違いが見られる日本は、文化・風俗面で色彩豊かな国だと実感できる。

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