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2018.01.01

AI、VR、IoT、イノベーションの恩恵を享受できるまでに何年かかるのか?

イノベーションの恩恵を享受できるのには何年かかるのか?

 AI、VR、IoT……。この数年、最新テクノロジーに関するこうした言葉をあちこちで見聞きするようになった。かつては近未来の技術のように思われたことが、身近に感じられるものになり、科学技術の急速な進歩を感じずにはいられない。では、これから先、注目すべきテクノロジーは何で、経済と社会をどのように変えていくのであろうか? こんな疑問を抱く人もいるだろうが、そんな疑問に対する一つの答えになりそうな書が、『未来化する社会』(ハーパーコリンズ・ジャパン)である。

 同書は、今後20年の経済と社会を変える産業についてまとめたもの。著者はジョンズホプキンス大学の客員研究員だが、第一期オバマ政権で国務省の上級顧問を務め、外交政策とイノベーションの専門家として活躍。世界中を取材し、各地で起こった/起こりつつあるイノベーションの現場を歩いてまとめた。欧米だけでなく、アジアやアフリカの開発途上国にも目を向け、丹念に描写しているのが印象的だ。

■イノベーションに問われる倫理観

 同書で描写している未来の産業や技術は、ロボット、ゲノミクス、デジタル通貨、サイバーセキュリティー、ビッグデータ、など実に盛り沢山。未来まで含めてきちんと理解し、まとめるには、それぞれに高度な専門性が要求されるはずだか、著者一人でよく対応したと思う。取材力は高さに思わず感心する。

 それぞれの分野でどのような未来が予想されているのかが、同書で気になるところだろうが、個人的にはそのことよりも気になることが2点あった。なので、それぞれの分野の未来は各自で確認いただくとして、これから気になった2点について言及したい。

 気になったことの1点目は、技術開発やビジネスにおける倫理観。倫理観を逸脱した行為が起きやしないかということである。もし何か起きたら、取り返しのつかない結果が待っている。例えばロボット技術は、現時点で手術に活用されているが、もし、ビジネスを優先して性急に導入されるとどうなるかだろうか。同書では、このように触れている。

「ロボット支援手術の将来が明るいのはたしかだか、テクノユートピア主義にいきなり飛びついてはいけない。表に出ていないがロボット手術で傷を負ったという申し立てはかなりある。(中略)私が心配なのは、人間の医師による手術のほうが患者に適している場合ですら、保険業界と医療関連業界からの低コストへの圧力のせいで、ロボットが手術室に送りこまれる事態になりはしないかということだ。長い目で見ればロボットには人の健康を改善する可能性があるが、経済事情だけにとらわれてロボットドクターに突進するのなら、それは誤りだ」(1 ロボットがやってくる、p55)

 人間の健康を改善するはずのロボットが、かえって傷を負わせる結果を生んでいる現実。患者に会った適切な医療を提供するはずの病院で、過度な利益追求は不幸な結果を生みかねないというわけだ。医療行為を継続して提供するために、医療機関の利益追求は、ある程度は肯定されるべきだろうが、不幸を生みかねない過度な利益追求に歯止めをかけるのは、医療従事者としての使命感や倫理観のはずである。最優先されるべきは、患者を救うことである。

 しかし、ロボットよりも倫理観が問われるのはゲノミクスである。同書では最新のゲノミクス技術を使って絶滅した動物を復活させる試みについて言及しているが、それは、この技術が人間に使われた場合のことを想起させるものでもあった。

「2012年、サンフランシスコで〈リバイブ・アンド・リストア〉プロジェクトが始まった。最新のゲノミクス技術を駆使して、絶滅種を復活させる試みだ。(中略)すでにキャリー(家バトの一種)、ヒースヘン(草原雷鳥の亜種)、口から出産するオーストラリアのカエルを復元する研究が進んでいる(中略)。マンモスを現在の地球によみがえらせたらどうなるだろう。技術的に可能だとして——リバイブ・アンド・リストアはいまの技術ではおそらく無理と見ている——、われわれは時計の針を戻したいと思うだろうか? デザイナーベイビーもそうだが、これは人間に神のような役割をもたせるものだ。人間のふるまいが地球の気候を変えたように、ゲノミクスの進歩は地球の生態を変えてしまいかねない。(中略)生命を操作できる能力が強まれば、それだけ良識に基づいたルールづくりも必要になってくる」(2 ゲノムの未来、p100-101)

 注目してもらいたいキーワードは「デザイナーベイビー」。受精卵の段階で遺伝子操作を行なうことによって親が望む外見などを持って生まれた子どものことだが、絶滅種復活の試みは、ゆくゆくはデザイナーベイビーの実用化につながっていると想起させる。研究開発のためであれば、神の領域にまで踏み込むことは許されるのであろうか。生命倫理の観点から慎重に対応することが望まれると同時、暴走しないような歯止めを早く整えておくことが大切だと痛感させられる。ある日突然、「デザイナーベイビー」誕生などという発表が世界中を駆け回ってからでは遅いのだ。

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