
高級車として世界中で認められているメルセデス・ベンツ。80年代のモデルもすでに車歴30年を迎え、ビンテージカーとしての雰囲気を醸しだし始めてきた。
巨大なグリルに輝くスリーポインテッド・スターで威風堂々の姿だったメルセデス・ベンツが、年季を重ねてお洒落になってきた。
■日本車でも少なくなってきた5ナンバーセダンの「190クラス」
1982年の12月に登場した190クラスは「W201シリーズ」と呼ばれる。全長が4420mm、全幅は1678mm、エンジンの排気量は1997ccと、日本の5ナンバーサイズに収まる、実にコンパクトなベンツだ。
「小ベンツ」という愛称で呼ばれたが、造りは丁寧でサイズを除けば上位のEクラスと遜色ないできだった。リアも当時のメルセデス・ベンツのアイデンティティといえる、後続車への視認性に配慮した、段差のついたデザインだ。
エンジンの出力は122hpほどと大したことはなかったが、車重が1100kg前後と軽く、FRの素直な走りは世界中で賞賛された。
室内は水平基調のデザインで、メーター類は見やすく配置されている。派手さはないがしっかりとした作り込みがベンツクオリティといえる。小さいけれど、速度無制限のアウトバーンで鍛えられた、質実剛健な車作りに好感を持つ。
1989年にバンパーやサイドパネルなどのデザインに変更を加えるなど、マイナーチェンジを行い、後の「Cクラス」が登場する1993年まで11年もの間生産された名車である。
ベースモデルは質素なイメージがある一方で1990年には当時人気だった「DTM(ドイツ・ツーリングカー選手権)」に参加、BMWのM3に対抗するために世界で500台だけが販売されたというホモロゲーションモデル「190E 2.5-16 Evolution Ⅱ」という、ど派手なモデルが作られたのも懐かしい。
日本の中古車市場での価格を調べた所、30万円〜150万円程度(2016年1月16日現在・以下同)で購入ができる模様。“エボ2”もたまに市場へ出るようだが、こちらは価格応談(一説では1000万円超とも)ということだ。