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90万円相当の仕事を失ってわかった相手を理解することの難しさ

2017.12.29

■年間で80万円相当の仕事を失ったケース

 さらに、私の失敗談を紹介したい。4月に、中堅出版社の50代前半の副編集長(課長級)の女性と企画について話しあった。女性は自らを「記者」と名乗っていた。私は、全国紙の記者と同レベルの経験があるのだと思い、質問をした。だが、その回答はいずれも要領を得ないものだった。話をさらにしていくうちに、私はようやくわかってきた。女性は「出版社で記者をしてきた」のであり、新聞社のバリバリの記者ではなかったのだ。双方には、様々な意味で大きな差がある。

 私はそれを正確に把握することなく、質問を繰り返していた。女性はその都度、不愉快そうな雰囲気だった。最終的に、物別れとなった。それ以降、仕事をすることはなくなった。原稿料に換算すると、年間で80万円相当の仕事だった。相手のバックグランドを心得ることなく、接すると、痛い目に遭う一例と言えないだろうか。

 会社の中でも似たようなことはある。たとえば、営業部での経験が長い課長が、総務の部長になったとする。おそらく、総務の仕事を正確にはわからないはずだ。部下の人は、そのことを踏まえ、部長に質問をしたりして接しないといけない。さらには、部長がわかっていないと想定し、先回りをして動くことが必要になる。これは、多くの人が心得ていても、実はできていないはずだ。

 あるいは、上司の側が、部下に接するとき、その人のバックグランドを本当に理解しているだろうか。なんとなく、「総務が3年目だから、このくらいはできるだろう」と判断しているほうが多いのではないか、と私は思う。こういう姿勢で接すると、上司と部下の双方の意思疎通はまず上手くはいかない。感情的になり、摩擦が起きやすい。

 私はフリーランスになって13年目を迎える。この間、90~110人の編集者と仕事をしたが、「フリーの立場や実情をよく理解しているな」と感じた人は10人ほどだ。おそいらく、私も相手の編集者のことをおぼろげにしか、理解できていないのだろう。「相手のことを理解する」とはよく聞く言葉であり、いい言葉である。しかし、相当に難しいことであり、多くの人ができるわけではない。

 せめて、相手の年齢や生い立ち、学歴、職歴、関心のある分野、得意分野や不得意なこと、好きな人、嫌いな人などは情報を入手し、接したほうがいい。自戒を込めて、読者諸氏に伝えたいことだ。それとも、私が空気を読むことができないだけなのだろうか。

文/吉田典史

ジャーナリスト。主に経営・社会分野で記事や本を書く。近著に「会社で落ちこぼれる人の口ぐせ 抜群に出世する人の口ぐせ」(KADOKAWA/中経出版)。

■連載/あるあるビジネス処方箋

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