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2017.12.28

地下鉄開通90周年を記念した『銀座線タイムスリップ』の旅

2017年12月18日、地下鉄開通90周年記念イベント「TOKYO METRO 90 Days FES!」スペシャル企画『銀座線タイムスリップ』(以下、銀座線タイムスリップ)を開催。累計応募者数4090人の中から抽選で45組90人がプレミアムチケットを手にした。当日は85人(5人欠席)が、“懐かしさ”と“新しさ”が入り混じった銀座線の旅を楽しんだ。

■始発は上野検車区、“Thank You編成”で運転

前身の営団地下鉄、現在の東京メトロでは、10年に1度、西暦一の位が7の年に、地下鉄開業記念のイベントを開催している。開業90周年の2017年は、1997年と2007年を大きく上回るスケールで盛り上げているほか、東京メトロも2017年11・12月は報道公開を多数実施している。

TOKYO METRO 90 Days FES!(https://metro90daysfes.jp/)は、2017年10月27日から2018年1月24日まで開催しており、今回の銀座線タイムスリップは、このイベントの大一番。1000系特別仕様車第39編成(http://bit.ly/2zvXHvf)が“イベント初登板”となる。まるで「90年の御愛顧にThank You!!」と、参加者やメディアに声をかけているようだ。奇しくも、東京メトロ2017年最初と最後の報道公開はこの車両となった。

1000系特別仕様車両に乗車(提供:TOKYO METRO 90 Days FES! 「銀座線タイムスリップ」)。

銀座線タイムスリップは、上野検車区内の建屋が始発。もちろん、日本の地下鉄では初めて設けられた車両基地で、地上地下合わせて20編成分留置できる。
さて、乗車口は6号車の非常用貫通扉だ。先頭の1号車は立ち入り禁止、2号車は緊急用トイレ設置、3~5号車は参加者の指定席、6号車は関係者とメディア用控室に分けられている。
参加者は10時前から乗り、指定された号車へ向かう。席番は座面に紙を敷く形をとっている。オールロングシート車両の指定席は、貴重な体験となるだろう。車内では進行役の女性から、ブログやSNSなどの投稿を禁止、指定以外の区間では撮影禁止などの注意事項を案内する。

1000系第39編成の車内。新製からわずか1年で小規模な改造を実施。

さて、第39編成は戸袋(一部を除く)と妻面の広告枠をLCD(デジタルサイネージ)に改造された。現時点、一般車(第1~38編成)は改造されないそうだ。

■「思い出」と「想い」がつまった銀座線

レトロな車両には和装がよく似合う。

10時40分頃、参加者とメディアの乗車が完了したあと、非常用貫通扉が閉まる。ここから2時間以上にわたり、すべてのドアが開かない。参加者は親子、友人、恋人など様々。会話やスマホの操作で、発車時間を待つ。車内には当時の乗客を再現したように映る和装の男女が乗り、「撮影禁止」のプラカードを掲げるなど、“お目つけ役”の役割を与えられている。
進行役の女性は発車までのあいだ、参加者アンケートのコメントを発表する。数回に分けて紹介したので、まとめて載せておこう。

☆銀座線にまつわる思い出

「駅で1000系を見たことがある。とても乗ってみたかった」
「レトロのレプリカ車両が出た頃、その車両に乗りたくて、目的地と逆方向に乗ってしまったことがあります」
「1000系がデビューしたばかりのときに、おじいちゃんと1000系が来るのを待っていて、来たときにおじいちゃんと喜びあった」
「よく満員電車でフィアンセをお迎えに行った。本日は彼女とタイムスリップします」
「お気に入りの傘をなくしたときに、問い合わせた駅員さんがとても親切だったこと」
「黄色い車両は天井が低く、昔がしのばれること」(コメント多数)
「1000系(旧1000形)に乗ったことがありますが、クーラーがない時代でした」
「日本橋駅の駅員さんのドアを閉める技がすごい」

☆応募した理由

「乗り鉄のため」
「僕が将来メトロになりたいからです」
「父が銀座線と同い年(1927年生まれ)で、親近感があったので」

☆銀座線の好きなところ

「日本で初めて(地下鉄が)開通された列車のため、乗るたびに“これを作った人はスゴイなぁー”と思っています」
「地下鉄の父、早川徳次氏の熱意によって開業した路線であるところ」
「渋谷から浅草まで、若者の街から伝統のある町までを結ぶ。どの駅に降りても魅力的なスポットがたくさんあるところ」
「渋谷駅、地上に出る感じが好き」(コメント多数)
「上野駅のホームドアのパンダの絵(1番線)がとてもかわいくて、大好きです」(コメント多数)

■発車から17分後に本線へ

11時10分、ついに銀座線タイムスリップが発車。まずは第3軌条唯一の踏切、「銀座線踏切」付近で停止する(https://t.co/J6mo9JDmv6)。この踏切は警報が鳴って遮断機が下りたあと、線路内のゲートを上げてから電車が動く。
7分後に踏切を通過し、地下へ。地下車庫への線路と合流し、また止まる。まるで本線合流のタイミングを見計らっているようだ。11時27分に発車すると、本線へ。浅草方面のB線を“逆走”するかたちで上野2番線に到着。ほどなく1番線に渋谷行きが到着した。

 

ターンスタイルの自動改札機と第3軌条。

上野は大規模なリニューアルが完了。改札付近には、ターンスタイルの自動改札機(再現品。開業当時の運賃は一律10銭)を設置、2番線には1927年から1993年まで使われた第3軌条、1番線には1974年から2016年まで使われた列車接近表示器と開通記念ポスターが、それぞれ展示されている。

10年後も復刻制服を見たい。

この日、改札付近で、駅員が開業当時の復刻制服を着用し、特別リーフレットを配布。地下鉄開業90周年をPRした。
ここで進行方向を変え、浅草方面へ向かう。上野―浅草間は東京地下鉄道の手により、1927年12月30日に開業。地下トンネルはベルリンやニューヨークの地下鉄に倣い、鉄骨鉄筋コンクリートで建設された。日常的な補修をしていれば、あと100年以上もつそうだ。
11時34分、浅草1番線に到着。ここは都営浅草線に乗り換えやすいホームだ。2番線から都営浅草線に乗り換えるには、階段と1番線を経由するため、当該列車は終点手前の田原町で、後続列車の乗り換えを勧めている。

浅草の折り返し線に入り、“真の終点”へ。

一旦停止したあと、この先の折り返し線へ進む。開業後に設けられた設備で、3編成の留置が可能だ。将来は一部を除き折り返し線の延伸が行なわれ、上野発着列車を浅草発着列車に変更し、利便性の向上などを図るという。

■ショータイムと化した、かつての銀座線名物

折り返し線で止まると、室内灯は蛍光色から電球色に変わり、オマタセ、ベイベー。イッツ・ショータイム。

復刻制服のコンセプトは、デザインよりも“誇り”を重視したように映る。

折り返し線を発車すると、開業当時の復刻制服を着用した乗務員と参加者の記念撮影タイムが始まる。A線渋谷方面の“目玉”は、第3軌条と第3軌条のあいだが離れている箇所で、室内灯の瞬間停電と予備灯の点灯が1993年7月30日以来24年ぶりに復活。この光景をリアルタイムで目の当たりにした人にとっては懐かしく、そうでない人は“じぇじぇじぇ”だろう。
昔の車両は、室内灯の電源を台車に装架された集電靴から直接得ていたため、ポイント通過時や駅到着前に室内灯の瞬間停電及び、予備灯の点灯を繰り返していた。1000系特別仕様車では、先頭車の集電靴の加圧条件をTIS(Train control Information management System:車両制御情報管理装置)により検知し、速度、走行距離、加減速度を演算することで再現される。

瞬間停電と同時に予備灯が灯る。

先頭車から順に瞬間停電及び予備灯が灯るシーンを見ていると、プロ野球で流行したウエーブを連想させる。ともに一体感がなければ成立しない。“瞬間停電及び予備灯のリレー”は、列車が安全運行しているという証で、乗客に安心感を暗示する役割があったのかもしれない。

■萬世橋と新橋

萬世橋廃止後、『ブラタモリ』の出演者とスタッフがこの地に足を踏み入れた(提供:TOKYO METRO 90 Days FES! 「銀座線タイムスリップ」。画像はB線走行時)。

銀座線タイムスリップは、ライトアップ(2017年12月1日から18日まで http://bit.ly/2D43nyF)された萬世橋をゆっくり通過。さいわい定期列車とすれ違うことなく、非常に短いホームを眺められた。
東京地下鉄道は上野―浅草間の開業後、上野―新橋間の建設を進め、まずは1930年1月1日に上野―萬世橋間が開業した。萬世橋は神田川の下を突破するまでの仮停留所扱いで、末広町―万世橋間は、日本の地下鉄初の単線となった。萬世橋は省電(現在のJR東日本)の乗換駅だったが、1931年11月21日に萬世橋―神田間が開業すると、萬世橋が廃止。省電の萬世橋駅も12年後の1943年に廃止された。
その後、東京地下鉄道は順調に延伸し、1934年6月21日に新橋へ到達した。
一方、東京第2の地下鉄として、東京高速鉄道が設立され、1938年11月18日に虎ノ門―青山六丁目(現・表参道)間、12月20日に青山六丁目―渋谷間が相次いで開業し、東京地下鉄道との相互直通運転を目論んでいた。しかし、東京地下鉄道は将来の6両編成化を想定していたのに対し、東京高速鉄道は建設費を抑えるため、ホームの有効長は3両編成分、幅も狭くした。
この姿勢に東京高速鉄道が不満を持ち、相互直通運転を拒否。このため新橋駅は東京地下鉄道とは別の位置に建設され、1939年1月15日に新橋―虎ノ門間を開業した。
その後、同年9月16日に日本初の相互直通運転が開始され、東京高速鉄道の新橋駅はわずか8か月で幕を閉じ、「マボロシの新橋駅」として語り継がれた。
相互直通運転から営団地下鉄の運営に変わったのは、1941年9月1日。半年前の3月に帝都高速度交通営団法が成立し、7月4日に営団地下鉄(帝都高速度交通営団)が設立されたからだ。ちなみに、「営団」とは「経営財団」の略称で、政府、公共団体、民間の出資による特殊法人である。

■駅名が2度も変わった駅

銀座線タイムスリップは、表参道を通過。1938年11月18日に開業した駅で、当時は「青山六丁目」と名乗っていた。1939年9月16日、「明治神宮に1番近い地下鉄の駅」という理由で「神宮前」に改称された。
長らくこの駅名で親しまれていたが、1972年10月20日に千代田線霞ケ関―代々木公園間が開業。「明治神宮に1番近い地下鉄の駅」は千代田線明治神宮前となり、神宮前は現在の「表参道」に改称。当時、銀座線と千代田線は地上乗り換えだったという。
その後、半蔵門線の開業に向け、1976年12月1日にホームを現在地に移転。半蔵門線開業後は同一ホームで乗り換えられるなったほか、千代田線の乗り換えも地上から改札内に変わり、利便性が格段に向上された。

ライトアップでよみがえった神宮前駅(提供:TOKYO METRO 90 Days FES! 「銀座線タイムスリップ」)。

旧ホームは資材置き場として活用され、現ホームからでも眺められる。今回の開業90周年を記念し、「神宮前駅」としてライトアップされた。

■現実

渋谷駅構内側線から渋谷駅を眺める。

「臨時上野行き」だが、「臨時浅草行き」を表示。

地上へ上がり、12時17分に渋谷へ。現在、渋谷駅周辺は大規模な再開発工事が行なわれ、銀座線渋谷駅も移転される予定だ。銀座線タイムスリップは渋谷を越え、渋谷駅構内側線の奥まで入った。室内灯も電球色から蛍光色に戻ったほか、LCD(旅客情報案内装置、デジタルサイネージ)が作動する。改造設置のLCDは、銀座線に関する案内を流す。
車内では発車ベルクイズを実施。問題は3問で、2つの選択肢の中から選ぶ。ちなみに、3問とも答えは銀座線の駅、出題の発車ベルはスタッフのスマホから流れた。

いつもと変わらぬ緊張感の中、復刻制服で出発進行。

発車ベルクイズが終わると、上野に向けて出発。約30分後、「ピポーン、ピポーン、ピポーン」のドアチャイムが現実の世界へ案内する。百寿を迎える2027年は、“もっと銀座線タイムスリップ”として、スケールアップしたイベントになることを期待したい。

※開業90周年記念イベントについては、東京メトロのプレスリリース(http://bit.ly/2BIE5IK)、地下鉄博物館ホームページ(http://bit.ly/2BKhn2B)で御確認ください。

【取材協力:東京地下鉄、東京メトロ PR事務局】


取材・文/岸田法眼

 

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