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日本の町工場が本気で「ハンドスピナー」を作ったら…スゴいのができた!!

2017.12.29

■「名探偵の愛用品」

 もうひとつの製品、Voidの形状は「ただの板」だ。

 この部分はどう贔屓目に見ても、揺るがし難い事実である。日を追う毎に複雑化、華美化していくハンドスピナーの中で、その流れに抗うかのような簡素なデザインだ。

「Void」は「空虚、まったくない」という意味。つまりこのシンプルさは故意のものである。

 先程のRelationも、哲学的ではあるが派手さとはまったく縁遠いビジュアルだ。なぜここまで装飾を取り除いた設計にしようと思い立ったのだろうか?

「映画やドラマの中の名探偵が回してるような感じのハンドスピナー、というイメージに基づいています」

 製品デザインを担当した福本哲也氏は、そう説明する。

 なかなか的確な表現である。シャーロック・ホームズもエルキュール・ポワロも刑事コロンボも、謎解きの際には辺りを歩き回る。頭脳をフル活用する仕事は、同時に肉体的動作を必要とする。

 だが、ここ最近の華美化したハンドスピナーはフォーマルな印象の名探偵とは合わない。デザインが派手になるということは、往々にしてカジュアル化を意味するからだ。

 ただし、デザインをシンプルにするということも簡単な仕事ではない。福本氏曰く、

「僕が何らかの強い希望を持って設計したというよりも、藤原さんと協議しながら仕上げていったという感じでしょうか」

 とのことだ。

■「100分の1mmの世界」の製品

 Relationには、部品構成がまったく異なるプロトタイプが存在する。

 このプロトタイプというのは、中心軸の上蓋と下蓋がネジになっている設計だ。これにより中のベアリングを取り出せるのだが、問題が発生した。

 ネジであるがゆえ、本体にごく小さな隙間が生じて回転時のガタツキが発生するのだ。

 そこで、上下の蓋と中心軸内部の軸棒を永久結合させるという手段を選んだ。だから製品版Relationは分解してベアリングを取り出すことはできない。

 しかし、これを買った者が手を施す必要などないくらいに精密な仕上がりであるというのも事実だ。何しろ、藤原産業の従業員は「100分の1mmの世界」に居を構えている。一般人が何とも思わないようなズレや振動を、彼らは敏感に察知する。この世界の人々が本腰を挙げれば、本来は玩具であるはずのハンドスピナーは最先端の産業機械と化すのだ。

 人間の脳を活性化させ、本来持ち得る仕事効率を引き出させるための産業機械である。

 見た目は「ただの板」であるVoidも、その左右の釣り合いを確定するのに緻密な技術を用いる。それがなければ、あの宙を舞ってしまいそうなジャイロ感覚は発生しない。形状だけのコピーで得られるものではない、ということは確かだ。

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