◎ミレニアルズはストーリーやWhyを消費する
「ゆとり世代」「右肩下がり時代の若者」「草食系」。日本でミレニアルズが語られる際、こうした言葉がよく使われるが、これらの言葉には上の世代の偏見も含まれているはず。「若者の◯◯離れ」に至っては、モノを買わないことが問題かのようなニュアンスで語られることも珍しくない。ミレニアルズからすれば、単に欲しくなる商品でないだけにもかかわらずだ。
そうした点について、社会に影響を与え始めているミレニアルズは、どう感じているのか? 前出の仲氏のほか、グルメサービス・Rettyの武田和也氏、遺伝子解析サービス・ジーンクエストの高橋祥子氏、純民間の月面探査ロボットを開発するispaceの袴田武史氏の4人を取材した。
まず、上の世代の偏見を感じるかを聞くと、高橋氏は「より若い世代の行動などで、自身と異なることを批判的に言及するのはよくあること」と述べ、袴田氏も「人間の常」と冷静に分析する。仲氏、武田氏も偏見を感じないそう。チャレンジ精神が旺盛ゆえ気にならないのかもしれないが、それを現実として受け止めているようだ。
このほか社会問題に関心が高いことについては、仲氏は著書の中で「ミレニアルズの消費や思考にはストーリーやWhyがある」と説く。それは「なりたい自分像」や「理想の世界の状態」であり、そのストーリーを共有したトライブ(一種の共同体)を作るということ。例えば、ベジタリアンやビーガン(絶対菜食主義)、エシカルジュエリー(児童労働や環境汚染などをせずに作られた宝飾品)を好む人たちは、有機農法、労働問題、地球環境問題などに関心を持つことは自然な流れ。これは消費行動だけでなく価値観にも影響する。
Q1:なぜ社会問題に関心が高い? Q2:共感できるミレニアルズは?
Q3:ミレニアルズを知る方法は?
【Retty】武田和也さん(34歳)
実名制を採用し、投稿の信頼性の高さが特徴のグルメサービスを運営。現在利用者は3000万人を超え、アジアなど海外でもサービスを展開中。
[A1]「お金を儲けたい」「有名になりたい」よりも、「世の中を良くしたい」という想いが強い。
[A2]大久保伸隆さん(エー・ピーカンパニー副社長)、藤井浩人さん(美濃加茂市長)
[A3]SNSでミレニアルズをフォローすることをおすすめします。
【Wantedly】仲 暁子さん(33歳)
企業とビジネスパーソンをつなぐビジネスSNS「Wantedly」を運営。現在、登録企業数2万社、月間150万人を超えるユーザーが利用する。
[A1]そのような教育を受けた結果、ミレニアルズには人類が掲げてきた理想が刷り込まれている。
[A2]近い年代ではいません。スティーブ・ジョブズを尊敬しています。
[A3]「モノ」の所有は喜びではなく負担。UBER、Airbnbなどを一度経験してみては?
【Genequest】高橋祥子さん(29歳)
東大大学院在学中に日本初の大規模遺伝子解析サービスを開始。遺伝子情報を集め、病気の予防や治療、未来予測することなどを目指す。
[A1]若者は社会問題への関心は昔からあった。が、権威に期待せず、自らの手で取り組む手段に変わった。
[A2]落合陽一さん(筑波大助教授、メディアアーティスト)、石川善樹さん(予防医学研究者、Habitech研究所長)
[A3]イケダハヤトさんのblog(http://www.ikedahayato.com)は、極端でわかりやすい。
【ispace】袴田武史さん(38歳)
民間主導の月面資源開発による産業創出を目指すベンチャー。現在、純民間開発の探査ロボットを月に着陸させるチーム「HAKUTO」を運営。
[A1]行動している人と無関心の人の二極化が顕著。メディアに出やすい前者のイメージが強い。
[A2]御手洗瑞子さん(気仙沼ニッティング社長)、山口一郎さん(サカナクション)
[A3]雑誌『Forbes』、『WIRED』(wired.jp/)、映画『マイ・インターン』
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