
■連載/石野純也のガチレビュー
アップル自身が「スマートフォンの未来」と形容する、iPhone Xがついに発売となった。高い注目を集めた製品のため、もはや説明不要かもしれないが、iPhone Xは、これまでのiPhoneと大きく異なり、前面のほぼすべてがディスプレイとなった。ディスプレイにコントラスト比が高い有機ELを採用したのも、iPhoneでは初だ。
ディスプレイを上下に広げた結果、これまでのiPhoneの象徴ともいえる「ホームボタン」がなくなり、アプリの終了や切り替えといった操作を、ゼスチャーで行うようになったのも特徴。これに伴い、ユーザーの認証方法も、指紋を使うTouch IDから、顔認証のFace IDへと切り替わっている。さらに、PlusサイズのiPhoneと同様、デュアルカメラを採用しており、望遠側も手振れ補正に対応した。
ついに発売となった、フルモデルチェンジの「iPhone X」
脈々と受け継がれてきたiPhoneの“伝統”を自ら捨て、次の10年に進む第一歩を踏み出したアップル。iPhone Xは、それを体現した1台といえるだろう。では、実際、iPhone Xの使い勝手や性能はどうなのか。発売前にいち早く実機に触れ、1週間ほど(本稿執筆時点の11月8日時点)使い込んできた筆者が、その魅力をひも解いていきたい。
■すぐに慣れた新操作は、むしろクセになってしまうレベル
ホームボタンがなくなったことで、iPhone Xでは、ホーム画面に戻る際には上方向へのスワイプが必要になった。スワイプの途中で指を止めると、Appスイッチャーが現れる仕組みだ。アプリ下部を左右にスワイプすれば、前後に使っていたアプリに切り替えることもできる。ホームボタンがなくなり、当初は戸惑うかと思いきや、この操作には、すぐに慣れることができた。むしろ、今では、同じくホームボタンがないAndroidを使ってアプリを終了させたいときに、間違ってアプリをスワイプしてしまうほどだ。その意味では、iPhone Xの操作がクセになっているといってもいい。
なぜ、すぐに操作に慣れたのか。それは、上スワイプという動作が、自然だからだ。感覚としては、アプリを画面の外へ、指で弾き飛ばしているのに近く、指が動きを覚えるのが早かった。今ではむしろ、物理的なボタンを押すというのが、不自然だと感じるほどだ。実際、ホームボタンの場合は、一度画面から指を離して置き換えなければならない。この点では、iPhone Xの操作は、合理的といえるだろう。ホームボタンを廃しながら、Androidとは異なるアプローチで、快適な操作を提案してきたところは、高く評価できる。