
秋田名物といえば「きりたんぽ鍋」。冬になると首都圏でも食べる家庭はあるだろう。ところで、このきりたんぽ鍋の由来を知っているだろうか。何気なく食べているこのきりたんぽについての由来や語源、そして現代風の新しい食べ方など、きりたんぽ鍋の今と昔に迫ってみよう。
■きりたんぽ鍋の由来って?
きりたんぽ鍋は、秋田県鹿角市(かづのし)が発祥の地だ。昔、猟師や山子(ヤマゴ)と呼ばれる山で伐採や炭焼きを生業とする人たちは、仕事の際の携帯食として、ご飯をこねたものを木に巻き付けて持ち歩いていた。それを作業の合間に山で採れた山菜や獣肉と一緒に切って鍋に入れて食したのが、このきりたんぽ鍋のはじまりだといわれている。
きりたんぽ鍋とは、ご飯をかために炊いたものをすりつぶして、串に巻き付けて焼いた「たんぽ」を切って鍋に入れた料理だ。典型的な具材は、地鶏肉やねぎ、ごぼう、セリ、キノコ類、こんにゃくなど。スープのだしは地鶏肉のガラでとり、醤油と酒で味をつけて食べるのが伝統的なきりたんぽ鍋である。
このような、現在のきりたんぽ鍋の原型がつくられたのは、明治初期に鹿角地域で醤油が普及しはじめた頃で、それより昔は味噌を使って山鳥や雉、山菜などを入れていたといわれている。我々が今食べているきりたんぽは、時代と共に洗練された料理のようだ。
ちなみに鹿角市では昔ながらの食べ方を再現した「きりたんぽ発祥鍋」を開発して2016年11月3日に地元で開催された「きりたんぽ発祥まつり」でお披露目している。
「きりたんぽ」の語源は諸説ある。例えば、「槍の鞘(さや)」もしくは「蒲(がま)の穂」のことを両方とも「たんぽ」と呼ぶ。これらに形が似ているところからきているという説だ。また、中国からきた筒状の「湯たんぽ」に関係しているという説もある。いずれにしても、細長い楕円形の形に関係があるようだ。
ちなみに、たんぽは甘い味噌を塗って焼いて食べても美味しい。現代でも「味噌付けたんぽ」として地元の人々のソウルフードの一つとして親しまれているという。