同じく、メス犬では避妊手術をしていない犬では約5%であるのに対して、生後6ヶ月未満で避妊手術をした犬では約13%、生後6ヶ月~11ヶ月で避妊手術をした犬では約17%、1歳前に避妊手術をした犬として見ると16.4%であった。
また、乳腺腫瘍について見てみると、生後6ヶ月未満で避妊手術をした場合は0%であるが、それ以降徐々に増え、避妊手術をしていないメス犬では4.1%となる。
次いで、尿失禁では逆に避妊手術をしていないメス犬では0%で、避妊手術をした時期が若くなるにつれパーセンテージが高くなる傾向にあり、発症平均年齢は5.2歳となっている。
実は、同じBenjamin Hart教授らによって2014年に発表された同様の研究調査では、ラブラドール・レトリーバーの場合、1歳前に避妊去勢手術をした犬では1つ以上の関節障害をもっている率が約2倍となり、ゴールデン・レトリーバーの場合は約4倍になるという結果が出ている。
性ホルモンは骨の成長軟骨板の閉鎖と大きく関連があるそうで、早期に避妊去勢手術を施すことによって骨や関節の成長に影響が出るのではないかということが注目されているようだ。
これらの数字だけを見ると、飼い主としては、特に病気を予防することを目的に避妊去勢手術を考えるとするなら、メス犬の場合、乳腺腫瘍と関節障害とどちらを優先させるかと悩みたくもなるだろう。
研究者は、「関節障害のリスクを減少させるために、この研究調査が、いつ子犬に避妊去勢手術をしたらいいのかを決めるガイドラインになることを望みたい」と言っている。手術をするのであれば、そのタイミングというのは考えてあげる必要があるのだろうが、ただ、多くの犬種について調査が行われたわけではない現段階においては、更なる情報を待ちたいものだ。
参考資料:Neutering of German Shepherd Dogs : associated joint disorders, cancers and urinary incontinence / Benjamin L. Hart1,*, Lynette A. Hart2, Abigail P. Thigpen2 and Neil H. Willits2 / Version of Record online: 16 MAY 2016 DOI: 10.1002/vms3.34 / Veterinary Medicine and Science
Early Neutering Poses Health Risks for German Shepherd Dogs, Study Finds / UC DAVIS
文/犬塚 凛
構成/ペットゥモロー編集部