今、ビジネスでは欠かせないグローバルな異文化コミュニケーション。海外のビジネスパーソンとの商談を成功させるための、語学力ではない、相手の信頼を獲得するために必要なコミュニケーション術はいくつかある。
その中でも「雑談力」は重要だ。しかし日本人は雑談にめっぽう弱いといわれる。そこで外国人との雑談として好まれる具体的な話題や雑談のコツについて株式会社テンナイン・コミュニケーションの通訳者に聞いた。
■日本人によるある雑談力3パターン
ビジネスの現場でも、最近では外国人と対話をする機会も増えた。そのような中、雑談のシーンになると尻込みしてしまう人もいるのではないだろうか。
放送通訳者の柴原早苗さんによると、通訳の現場では外国人相手の日本人の雑談の現状について次のような様相だという。
「通訳現場では、雑談が『上手な方』『不得手な方』『影の薄い方』の3タイプがあると思っています。『上手な方』は日本語でも意思疎通力が高く、笑顔も見られ、話し方も明瞭で愛嬌のある方です。一方、『不得手な方』は日本人同士の会話でも続かず、声も小さく目を合わせないケースもあります。『影の薄い方』の場合、必ずしも意思疎通そのものを苦手としてはいないものの、会話の場面では常に受身です。
日本では『英語をペラペラと話さねば』という呪縛がまだまだあり、同席した日本人同士で英会話力を探り合ったり、かっこよく見せねばと気負ったりしているようです。しかし時代はグローバル化しており、米英の方以外の話す英語に接する機会も増えています。『多少はブロークンでも構わない』と、良い意味で自信を持つことが大切だと思います」
■外国人とビジネスにおける「雑談力」の重要性
柴原さんは、外国人とビジネスでかかわる際には「雑談力」が重要だという。なぜそこまで雑談が重要なのだろうか。柴原さんは次の3つの理由を挙げる。
1.信頼を得るため
「どれほど売り込む商品が良くても、相手から信頼されなければ商談は成立しません。信用してもらうことがビジネスにおけるすべての土台となります」
2.時間を有効活用するため
「雑談を少しするだけで、相手の教養や知的レベルはわかります。多忙な時代だからこそ、短時間で商談を成功させるためには限られた時間内でどれだけお互いが知り合えるかが大切です」
3.人類への貢献になるため
「一見大げさに聞こえますが、個人レベルの信頼がビジネスの成功につながり、それが双方の国にとって有益になります。社会への貢献が人類への貢献へ発展するのです。多様化・複雑化している昨今の世界情勢の中で生きる今だからこそ、お互いへの信頼が世界を支えると考えています」