
■連載/ペットゥモロー通信
この物語は、ここ30年でノラ出身のネコを12匹保護し、一緒に生活を続け、そのうちの11匹をすでに高齢で看取った今、残りの一匹“ビッタ(18才・オス)”と暮らす中年男の喜怒哀楽に満ちた日常の記録である。
正確にいえば29年前。我が家にネコがやってきた!
「『やってきた』とかいって、アンタが拾ってきたりしたんでしょ?」という人もいるかもしれないけど、いや〜これが本当に向こうからやってきたんですよ。当時住んでたのがマンションの二階で、一階の部屋の庭がベランダから眺められた。するといるんですよね、ネコの一家が!
それで上からいっつも眺めてて、なんだか腹を空かしてそうなんで一階の住人には見つからないように食事をあげてたの。ヒモの先にフタの着いた袋付けてね、その袋が地面に着くとフタが空くように細工して、フタが開くとドライフードが出てくるっていう仕組みで、毎日あげてた。
そしたら!そのウチの一匹がある日、ウチのベランダまで登ってきたんですよ。一階の庭の物干し台と、庇を伝ってやってきた。それでサッシ戸開けてあげたら、物怖じをせず堂々とウチの中まで入ってきた。
もちろん外のコにドライフードを上げるのは毎日続けてたけど、家に来たそのコ……あとで海苔が好きなもんで“海苔子”と命名されるメスネコ……にはドライフードじゃなくて缶詰を家であげるようになった。
すると、他のコもそのことにと気付いたんだろうね。これもあとでの命名なんだけど“プーピー(雄)”“タックン(オス)”“モモ子(メス)”という三匹も加わり、計四匹が家にやってくるようになった。
やってくるだけじゃなくて、ネコトイレを備えたりしたら結局、家から出なくなった。
「こりゃもう家ネコだ!」ってんで、外に出さないようにしてもまったく文句もいわないで結局、この4匹と暮らすことになる。
そのうち、知り合いの人から「どうしても引き取ってほしい」と“平助(オス)”という黒猫が加わりこれで5匹。ということで、29年前に我が家にやってきた、当然だけど今は亡き5匹たちの、我が家に奉ってある遺骨でございます…。
でもこのマンションがペット禁止(大家さん本当にごめんなさい…)でして、あんまり体の丈夫じゃなかったタックンを病院に連れて行くのも、いっつもバレないかヒヤヒヤでの通院だったということもあって、チラシで見つけたペット飼育可のマンションに7年後に引っ越すことになる。