
昨今、週刊誌やワイドショーで有名人の“不倫”の話題が続いているが、海外ではモノガミー(排他的交際)かポリアモリー(自由交際)かという議論が起っていて、一夫一婦制の根拠となるモノガミーが今、なんとその立場を揺るがされているという。
■開かれた関係のカップルであるCNMとは?
ごく一部の例外はあるものの、人類のほとんどの文明社会では一夫一婦制であるモノガミーの原則で家族と社会が構成されている。そしてこれまでモノガミーの価値観があまりにも自然に浸透しているため、今までのモノガミーとポリアモリーの研究は初めから偏見を持ち込んだものになっていると指摘する研究者が出てきている。
そして今日の家庭内パワハラや高い離婚率の問題を鑑みると、カップル間の関係は開かれたポリアモリーであったほうが健全な関係が続けられるのではないかという新たな視点が注目されている。つまりカップルの関係でありながらも、それぞれが自由に他の人々とも交際できるという関係だ。
「以前よりポリアモリーが社会に受け入れられてきたとは考えていません。今の人々は、CNM(consensual non-monogamy、合意に基づいた自由交際)に興味があるのです」と米・ボールステイト大学のジャスティン・レミリア氏は語る。
「Inverse」より
研究者チームはオンラインで3530人の参加者に第1優先のパートナーと2番目のパートナーについての親密度、コミュニケーション、仲間意識、魅力について質問をした。
収集したデータを分析したところ、ポリアモリーな人々のパートナーは相手の2次的な交際を受け入れるだけでなく、ポリアモリーであることで最優先のパートナーとの関係がより良くなったと考えていることが分かったのだ。つまり、“不倫”(もちろんポリアモリーにとっては不倫と定義されるものではないが)をしていたほうがメインのパートナーとの関係が強固になっているというのである。
「ポリアモリーの人々が“不倫”を秘密にする可能性は低いです。2番目のパートナーの存在はメインの関係により良い“投資”を行ない、寛容な広い心を示しより多くのコミュニケーションが得られたことを意味します」(ジャスティン・レミリア氏)
やや一筋縄ではいかないかもしれないが、これを説明するひとつの専門用語がクーリッジ効果(Coolidge effect)だ。
カップルも関係が長く続くほどにいわゆる“マンネリ”になることは往々にして起り得ることだろう。クーリッジ効果はこうした時期に別の“恋人”ができることで性的欲求が回復することを指す。これによってメインのカップルの間の性的関係も好影響を及ぼすという説明だ。
こうしたポリアモリーの人々が増えれば、もはや“不倫”が問題視されることも少なくなり、夫婦間のパワハラや離婚も減りそうだとするならば、確かに新たな可能性を拓くカップルの関係性になるのかもしれない。