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2017.09.24

実験で証明されていた「睡眠学習」の効果

睡眠の目的は疲労回復のためではなかった!?眠りのイメージがガラリと変る話題3選

 なぜ人は人生の3分の1を眠って過ごさなくてはならないのか。疲労回復のためだけであるなら、7、8時間も睡眠をとるのは長すぎるような気がしてこないだろうか。それもそのはず、この長い睡眠時間は身体のためというよりも、脳のためであったのだ。

■睡眠は脳のための欠かせない“活動”

 ドイツ、アルベルト・ルートヴィヒ大学フライブルクの精神科医、クリストフ・ニッセン氏が率いるチームが昨年発表した研究によれば、睡眠は脳の接続を“リセット”する効果があり、記憶と学習に関して重要な役割を担っているということだ。

 起床後の活動で形成され、どんどん複雑になっていく脳神経の電気的接続が、睡眠によっていったん“リセット”されるということである。これによって一時的な記憶がふるいにかけられて整理され、起床後に再び新たな体験を効果的に記憶、学習できるようになる。この活動を行なうために、身体よりもむしろ脳が睡眠を必要としているのだ。

 逆に言えば徹夜や睡眠不足で脳が“リセット”されないと、脳がオーバーワーク状態になって新しい記憶が定着しにくくなるという。いわばパソコン用語でいう“一時メモリ(キャッシュメモリ)”のメカニズムに似ていて、今現在の関心を占めている目下の出来事の情報を、定期的に整理整頓してクリアにしないことにはすぐに一杯になってしまい次の局面に対応できなくなってしまうのである。

 実験では19歳から25歳までの11人の男性と9人の女性の行動と脳波を観測した。実験参加者は2グループに別けられて、一方は前夜にじゅうぶんな睡眠をとってもらい、もう一方は徹夜してもらって、当日の行動の様子を観察し適時脳波を測定したのだ。

睡眠の目的は疲労回復のためではなかった!?眠りのイメージがガラリと変る話題3選
The Guardian」より

 やはり“徹夜組”は身体の動きからして鈍く、実際に脳が筋肉を動かすために発信するパルス信号がきわめて弱々しいものであったということだ。また、脳に学習と記憶を促す刺激を与えたところ、徹夜組の脳は新しく見聞した物事をあまりうまく記憶できなかったという。さらに徹夜組はぐっすり眠ったグループに比べて興奮しやすい状態にあったということだ。

「この研究が示しているのは、睡眠は健康な脳機能のために欠くことのできない積極的な脳の活動であり、決して無駄な時間ではないということです」(クリストフ・ニッセン氏)

 今回の研究は、2003年にウィスコンシン大学マディソン校で行なわれた研究によって提唱された「Synaptic Homeostasis Hypothesis、SHY(睡眠と記憶についての仮説)」を補強するものにもなっている。このSHYとは、睡眠中に脳はその日1日に受け取った情報を整理分類し、しかるべき場所へ“保管”しているという仮説で、この活動なくしては翌日に新しい体験をうまく記憶できなくなるという。またこの睡眠時の脳の活動には考えられている以上のエネルギーが必要とされているため、身体が動かせる状態では難しく、むしろこの脳の活動のために人は意識を失って睡眠をとっているということだ。睡眠は身体の疲労回復が第一の目的ではなく、脳の情報処理のために必要な時間だったのだ。つまり、身体を脳に明け渡している時間であるということだろうか。

 我々の睡眠に対する認識がガラリと変わってしまうような話題だが、この研究は興味深いことにうつなどの精神疾患の治療法を探るものにもなるということだ。この脳のメカニズムを“逆手に取り”、例えばうつ患者をしばらく睡眠不足の状態にすることで、日々の不安を徐々に払拭させることができるかもしれないというのである。確かに徹夜明けで睡眠不足だと、目先のことしか考えられなくなっているような感もあり、余計な心配をすることすら面倒になるかもしれない。ともあれ今後は、睡眠は脳のためにとるものだという考えが主流になりそうである。

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