
■連載/ペットゥモロー通信
保護犬と暮らす
元飼い主の生活が一変、ケージの中だけで暮らしていたサルーキ
この犬の名は、“プリンス”(サルーキ、オス、当時5歳)。彼にとって3番目の飼い主となるAさん宅に初めてやって来た時の姿である。まるで子犬の頃からAさん宅で暮らしていたかのようにリラックスしているこの様子からは、少し前までケージの中だけが生活場所で、糞尿まみれになっていたとは思えない。
Aさん宅に初めてやって来た時のプリンス(当時5歳)、ここが自分の家というかのようにリラックスしている/©E.A
Aさん宅には、プリンスが来る前に、“スペンサー”(メス)という名のサルーキがいた。
「私は犬派で、主人は猫派なんですが、どうしても犬が欲しくて、主人にはごり押しする形でスペンサーを迎えました」とおっしゃるAさんは、人と同じものはイヤ、個性を大事にしたいという気質もあって、数ある犬種の中でサルーキに惹かれたそうだ。
たとえ犬が苦手な人であっても、犬好きに変えてしまうのが彼らの魅力。ご主人もスペンサーと暮らすうちに、いつしか彼女の虜になっていったという。
先代犬、スペンサー。「プリンスとの出会いは、スペンサーが運んでくれた縁なのかもしれません…」(Aさん)/©E.A
一度スペンサーの首輪が外れ、そのまま遠くに走り去ってしまった時には、気になるものを見つければ飼い主の呼び戻しの声も耳に入らないと言われるほど走りに長けたサイトハウンドのこと、「これでもう終わった…」と思ったそうだが、ちゃんと自力で自宅の玄関に戻ってきたスペンサーにほっと胸を撫でおろすAさんご夫妻の様子が想像できるような気がする。