人気のタグ
おすすめのサイト
企業ニュース
2017.08.20

御朱印帳メーカーに聞く一大ブームの舞台裏

■紙の「偉業」

先述の通り、マツオカの本社所在地は香川県。四国地方といえば、八十八ヶ所巡りを連想する人も多いのではないか。

日本最大の巡礼地を眼前にする企業だから、そこから作り出されたものは妥協なき完成度を誇る。

マツオカの御朱印帳は雁皮紙を使用している。これは和紙の代表格とも言えるものである。丈夫で虫害に強く、数百年という単位での保存が利く。西洋で長らく使用されてきた酸性紙は100年程度で劣化してしまうため、たとえば19世紀イギリスの科学分野での大躍進を示す史料などが次々と失われている。一方で日本史関連史料にそういう問題が生じないのは、ひとえに「紙の強さ」があるからだ。

ところが、現代の日本で生産される雁皮紙は、その原料を専ら輸入に頼っている。それを手がける農家がなくなった、ということだ。

だが一方で、和紙というものが近年再評価されている。ユネスコ無形遺産に和紙の手漉き技術が登録されたこともきっかけのひとつだが、やはり和紙が持つ驚異的スペックに日本人自身が気づいたということが一番大きい。

もともと紙は中国人の発明で、その目的は文書の永久保存だった。中東やヨーロッパでは石版、粘土板、羊皮紙が記録媒体として使われてきたが、それらは重くて携帯ができないという致命的欠点がある。パピルスというものもあったが、これは折ると割れてしまう。

その点、紙は軽量かつ折り畳むことができる。西暦751年に当時の唐朝とアッバース朝が中央アジアの覇権を繰り広げた「タラス河畔の戦い」は、唐の製紙法がイスラム世界へ伝来するきっかけになった。それ以降、アッバース朝支配下の地域では数学や化学、医学、哲学などが大発達を遂げた。優秀な記録媒体があるのとないのとでは、学術研究に絶大な差が出るのは当然だ。

我々現代人は数字を表記する時に「Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ」ではなく「1、2、3、4」と書く。それは紙を手にしたアッバース朝の学者が、インド数学を改良し体系化させたからである。

そんな偉大な道具を、凝り性の日本人は極限までチューンナップした。

@DIMEのSNSアカウントをフォローしよう!

DIME最新号

最新号
2019年7月16日(火) 発売

DIME最新号の特別付録は超強力なUSBモバイル扇風機!大特集は「夏の新製品辛口評価テスト」!

人気のタグ

おすすめのサイト

ページトップへ

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標(登録番号 10401024号)です。詳しくは[ABJマーク]または[電子出版制作・流通協議会]で検索してください。