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2017.08.04

疲弊する日本の宅配業界を救う3つの施策

日本の宅配便

ここ数年、住宅街でも、たくさんの荷物に悪戦苦闘する宅配業者の姿が目につく。それもそのはず、宅配便の取扱個数は年間40億個近くにも達しているのだ。ネット通販を利用しない人にとっても、他人事ではない。宅配業界に何が起きているのか。

◎年間7.4億個もの〝再配達〟が当面の課題

 宅配便の最大手、ヤマト運輸が「このままでは荷物が運べない」と公言したことで、宅配便をめぐる過酷な状況が次々と明らかになっている。

 国土交通省によれば、2016年の宅配便取扱個数は38億6900万個。さらに、そのうち2割が再配達される現状という。

 増え続ける荷物に人手不足。ついに今年9月から、ヤマトは基本運賃の最大20%値上げを発表。何と27年ぶりのことだ。

 動きはヤマトだけではない。佐川急便は一部地域でトラック輸送から旅客鉄道を利用した「貨客混載輸送」を開始。日本郵便と楽天は、再配達を減らすための連携強化策を策定した。

 世界に冠たるサービスと称えられた日本の宅配便は、もう限界なのか。物流コンサルタントの⻆井亮一氏は、再配達の問題を次のように指摘する。

「年間約7.4億個の再配達があるのですが、コストにすると2600億円にもなります。労働力は9万人相当、再配達時間は1・8億時間にもなります」

 宅配ドライバーには、サービスの一環として「荷物を当日中に届けたい」との心理がどうしても働く。連絡がなくても、ついつい再訪してしまうわけだ。

「再配達は、国の発表の個数ベースでは2割ですが、ドライバーさんの体感値では35%と言います。間違いなく業界を圧迫している大きな要因です」

 再配達問題は、業界内だけのことにとどまらない。現にヤマトは、値上げだけでなく、再配達の受付時間を繰り上げるなどサービスの縮小を始めている。つまり私たちの利便性にも直結してくるのだ。

 しかも2030年前後には、宅配便取扱個数が60億個を超えるとの試算もある。

 事実、日本国内の消費者向けEC市場(電子商取引)は急拡大を続けている。経済産業省によれば、2016年は前年比9.9%増の15兆1358億円。ネット通販などのEC市場の伸長は、当然、宅配便取扱個数を増加させる。

◎1回で受け取った人に共通ポイントを

 果たして〝60億個時代〟を乗り切ることができるのか。⻆井氏は大きく「3つの施策」によって、十分可能という。

 1つめは、店側が「自前配送」を増やすこと。

 商品を消費者の自宅まで配送する「ラストワンマイル」。今はこの部分を、ヤマト、佐川、日本郵便という三大業者がほとんど担っている。ここを小売業者も担うという考え方だ。

「アマゾンが『自前配送』を増やしていることはご存じかと思いますが、大手スーパーなどもさらに力を入れていくでしょう。最近では家電量販店のヨドバシカメラが、家電だけでなく食料品も1品から無料で即日配達し、高い評価を得ています」

■宅配便取扱個数の推移

宅配便取扱個数の推移
国土交通省によれば、宅配便の取扱個数は急増し続けている。2016年の取扱個数は38億6900万個で、前年から6.4%も増加。この10年間では約3割増。さらに2030年前後には、60億個時代の到来が予測されている。

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