
■連載/PC&スマホのお悩みを解決!サポートスタッフだけが知っている“プロのテクニック”
あなたのパソコン、熱対策は万全ですか?
日本PCサービスの大下と申します。私の会社は、パソコントラブルに見舞われたお客様の元にすぐ駆けつける「ドクター・ホームネット」を運営しています。そして夏になると、私たちの元には「パソコンの熱」が原因のトラブルが、本当にたくさん寄せられるのです!
■パソコンは、なぜ熱に弱い?
パソコンに最適な室温は「10〜30度」。室温がこの範囲を超えると、様々な部品が、熱により悲鳴をあげ始めるのです。
熱に弱い部品は、主に3つ。1つめは、マザーボードなどの「基板」です。基板に使われる半導体には、超高精度な“はんだ付け”が施されています。はんだ付け――子どもの頃、技術の時間に学んだことがある方も多いのではないでしょうか。低温でも溶ける金属を「はんだごて」の熱で溶かし、回路と部品をつなぐアレです。夏はパソコンが冷めにくく、部品に電気が通って発生した熱はパソコン内に蓄積されていきます。はんだの温度もぐんぐん上昇、やがて溶け始め、半導体が故障してしまうのです。
“はんだ”は、種類によって、溶け始める温度がバラバラです。もっとも低温で溶けるものも、約180度にならないと溶けません。「パソコンがそんな高温になるなんて想像がつかないよ」とおっしゃる方も多いでしょう。ところが……外側が手で触れる温度であっても、内側は何倍にも温度上昇しているのです。
■SSDでも熱に要注意!
2つめは、データを格納するために内蔵されている「HDD(ハード・ディスク・ドライブ)」。
HDDには、1分間に5千〜1万回転する高速モーターが搭載されています。起動時にきこえる「きゅい〜ん」という音は、モーターが回転する音。この高速回転が熱を発生させる原因となります。
最近のパソコンでは、ノートPCを中心にSSD(ソリッド・ステート・ドライブ)という、新しいタイプの記憶媒体が使われている場合もあります。SSDにはモーターが無いため、HDDと比較すると発熱は抑えられます。
しかし、SSDも全く熱が発生しないわけではありません。また、SSDを使うことでパソコンの処理速度が高速化し、電気信号のやりとりが増えることで、内部の熱はHDDの時よりも高くなるというケースも……。つまり、SSDだからと、熱対策をしなくてよいわけではないのです。
そして高温になりやすい部品、最後の1つは「電源ユニット」です。
「電源ユニット」は “電気”の入り口になる場所。一番熱が発生しやすい部分です。デスクトップPCの場合は、電源ユニット自体に冷却ファンがついている場合があります。ノートPCも、バッテリーや電源ケーブルの挿入口付近に冷却ファンや空気の取り込み口があります。これは、少しでも熱を逃がすためなのです。