
【「知らないのは恥じゃない。知っている振りをするのが恥だ」言葉の天才・永六輔が遺した7つの金言】
数々の国民的名作を遺し、昨年7月に逝去した永六輔さん(享年83)。しかし、「永六輔って何者!?」と疑問を唱え、その足跡を追う一人の若者がいる。孫で、東京大学在学中の拓実さん(20歳)だ。
拓実さんが蒼々たる著名人に突撃取材して書き下ろした『大遺言 祖父・永六輔の今を生きる36の言葉』は、6月30日頃発売される。それに先立ち、ビジネスパーソンにも役立つ金言を、同書の中から厳選して先行公開します!
仕事が楽しくなる7つの金言(1)
「知らないのは恥じゃない。知っている振りをするのが恥だ」
■「素人」だったからいい仕事ができた
上司や取引先に何かを問われ、本当はよくわからないのについつい適当に受け答えしてしまう……。ビジネスシーンでよく見かける光景だ。
16年間、ラジオで永六輔さんと共演したTBSアナウンサーの外山恵理さん。彼女が「私、知らないことばっかりで申し訳ないです」と話したとき、永さんはこう即答したそうです。
「どうして謝るの。知らないのは恥じゃない。知っている振りをするのが恥だよ」
知っている振りをしない。簡単そうでなかなかできないことだが、それについて永さん自身のエピソードもあるという。拓実さんが語る。
「祖父が作詞を始めた当時の歌謡曲は、今日流行している歌とは大きく毛色の違うものでした。職業作詞家が文語体で、燃えるような情愛やドラマチックなテーマで詞を作る。そうした手法が主流の中で、『上を向いて歩こう』『見上げてごらん夜の星を』『こんにちは赤ちゃん』の中のシンプルな詞は、実に新鮮でした」
そして、ある音楽プロデューサーは、拓実さんにこう教えてくれたという。
「永六輔がそれまでの伝統を無視し、シンプルな話し言葉と日常的なテーマで詞を書いたときから、日本の新しい音楽の歴史が始まった」
しかし、それだけ画期的なことをしたのだから、さぞかし研究して時代の流れを読み、考え抜いたのかというと、そうではなかったという。