■カーテンを押して引っ張るという新発想
有名家具店などで、電動カーテンを用意しているところは結構ある。タイマー付きのモデルなど進化もしているし、料金も1万円前後から販売されている。
ただ、レールの装着はちょっとだけ手間がかかり、またコンセントからの電源が必要なこともある。その点、既存のカーテンレールにコードレスで取り付けられるmornin’の気軽さは際立つ。季節によって寝室を移動したりする人や、引っ越しなどにも便利だろう。さらに、賃貸住宅に住んでいる人にも向いている。
それは、mornin’が単独で移動し、結果的にカーテンのフックを押して引っ張るという発想の勝利だろう。雑にいえばプラレールみたいなもの。電気機関車感覚だ。
だが、疑問点もある。充電式ではなく単三形電池にしたのはなぜか? 全部のカーテンレールに装着できるのか? タイヤがひとつでカーテンレールをすべらないのか? カーテン中央を固定するマグネットに引っ張り負けないのか? ……そんな疑問をロビットの高橋代表にぶつけてみた。
JAXAで省電力化の研究をしていたが、民間に近い仕事をしたいとビジネスコンテストに応募した所、自分のアイデアが高評価を得たことで起業を決意。中央大学の電気科で同窓の3人と2014年6月よりロビットを創業した。技術面はインテル出身のCTO新井さんが担当。ほかにも元ホンダのメンバーなど精鋭が集う。
−−mornin’を使ってみたのですが、気軽に使えて便利ですね。ただ、疑問点がいくつかあって、まずは単三形電池3本を使うことです。今はUSBケーブルで充電するのが当たり前のような気がするのですが。
高橋代表:ありがとうございます。確かにUSB充電方式も検討しました。その結果、次の2点から採用しませんでした。ひとつは、コストがかかること。もうひとつは単三形電池のメリットが結構あることです。
mornin’はお求めやすい価格を重視していて、どにかく値段を下げたい、そのためにできる限り構造をシンプルにしています。
さらに、単三形電池のもちが想像以上によかったのです。Bluetooth Low Energyを使っていて、通常の使用頻度で5か月くらいを目処としているのですが、社員が試してもう半年経つのですが、まだ使えると言ってます。
さらに、カーテンレールは高い位置にあることも多く、ケーブルをつなぐのは面倒だったりします。
−−なるほど。確かに不便かもしれないですね。それでは、カーテンレールすべてに装着できるのでしょうか?
高橋代表:実はカーテンレールって規格がなくて、種類がそれこそ星の数のようにあるんですよ。当社では発売までに国内のほぼ全メーカーのレールで実験してみました。同型式のカーテンレールならほぼ、装着できると思いますが、念のため確認してください。それから、欧米ではカーテンレールではなくリングを使っていることも多く、そちらでmornin’を動かすことは今の所できません。
−−そんなに種類があるんですか! 驚きました。カーテンレールってホコリや油などですべったりしませんか? タイヤがひとつで不安なんですが。
高橋代表:正直言って、ホコリや油は動作のさまたげになります。なので、装着前に掃除してもらえるとありがたいですね。お部屋の匂い消しでカーテンにシュッとひと吹きするご家庭が多いかと思いますので、カーテンレールを拭いていただいてからのご使用をお勧めします。
あと、タイヤなんですが、複数あるとレールにちゃんと接しないことがあります。タイヤ1つとガイド2か所の3点支持で駆動する方が安定しているともいえます。また、複数のタイヤだと構造が複雑になり、コストや重量増につながりますし、故障の可能性も増えます。総合的な判断でタイヤひとつが現状ではベストだと思ってます。
ちなみに、駆動力は十分確保していますが、カーテン中央のマグネットが強すぎて外せず、mornin’が停まってしまうことがあります。その場合は、マグネットに透明なテープなどを貼ってください。それで磁力が弱まり、外せるようになるかと思います。
■朝日を浴びるとカラダにもよい!?
シンプルで使いやすいmornin’は、朝日を浴びることでカラダに良い影響をもたらすと、高橋代表はいう。
「朝起きられない」「だるい」原因は、主に、深い睡眠からむりやり覚ましたことによる「睡眠慣性」らしく、睡眠慣性とは目が開いているけれど、脳がウトウトしている状態。その解消に太陽光が有効だと考えられているらしい。太陽光を浴びることで睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌をおさえ、すっきりした朝を迎えると、体内時計を整えることもできて、お肌の健康にも良いそうだ。
スマホで動くカーテンって面白いなぁと思い、試してみたmornin’。便利なだけでなく、健康にもなれるなら、イイコトずくめである。筆者もタイマーを設定して朝日を浴びて起床してみた。朝が弱いのでグズグズ起きるタイプだが、いつもは目覚ましが鳴っても目が覚めないのだが、朝日を浴びると「寝ていられない」という感覚。確かに効果があると、個人的には思っている。
文/中馬幹弘(ちゅうま・みきひろ)
アメリカンカルチャー誌編集長、アパレルプレスを歴任。徳間書店にてモノ情報誌の編集を長年手掛けた。スマートフォンを黎明期より追い続けてきたため、最新の携帯電話事情に詳しい。ほかにもデジタル製品、クルマ、ファッション、ファイナンスなどの最新情報にも通じる。
※記事内のデータ等については取材時のものです。
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