
■連載/ペットゥモロー通信
動物病院でのペットのストレス軽減について
「動物病院で感じるペットたちのストレスについて」に引き続き、動物病院での犬(ペット)のストレスを少しでも軽減するには?ということについて考えてみたいと思う。
余談ながら、以前、動物病院でキャリーから愛猫を出そうとするものの、相当な抵抗に遭い、激しく爪で引っ掻かれて血だらけになっていた人を見かけたことがある。結局その人は自分の傷の治療をするために、そのまま帰って行った。その猫にとっては、はたしてそれでよかったのだろうか?と今も考えることがある。
犬や猫にとって、動物病院でのストレスをより少なくするには、普段のしつけやトレーニングも大事。
動物病院でのストレスをなくすというのは無理だろうが、少なくとも軽減することができれば、犬(ペット)にとっても、飼い主にとっても、医療スタッフにおいても、より“楽”となれることは間違いないだろう。
そのために努力できることというのはいくつかある。
1:体のどこを触っても大丈夫なように慣らしておく
度々言われることではあるが、子犬の頃から体のどこを触っても大丈夫なように慣らしておくことは、普段のグルーミングやしつけのみならず、動物病院での診察の際にも役に立つ。
特に、生後3週齢~3ヶ月齢くらいまでの間は社会化の最適期であることから、人間の手はもちろん、口(口を開けることを含め)や耳、足先、お腹、シッポなど、あらゆるところを触れるようにしておきたいものだ。
たとえば口であるなら、最初は指先で唇を少し撫でるみる ⇒ 指先で唇をめくってみる ⇒ 歯を撫でてみる ⇒ 口を少し開けさせる、というふうに少しずつ段階を踏みながら慣らすのがベストである。
2:グルーミングに慣れさせる
体のどこでも触れるようになれば、グルーミングもより楽にできるようになるだろう。犬や猫がもっとも嫌がるのは耳そうじや爪切り、歯磨きではないだろうか。
耳そうじの場合、綿棒を使うと耳垢を逆に奥まで押し込んでしまうことがあるので注意が必要だ。ガーゼや綿にイヤークリーナーを付けて、耳奥の手間から耳の縁までを優しく拭き取るようにする。本来、耳垢には殺菌作用や皮膚を保護する役目もあり、また、強くこすると皮膚を傷めるばかりでなく、それこそ耳そうじ嫌いになってしまうので、やり過ぎにはご注意を。
爪切りが嫌いな場合、足先に触られることに慣れていない、以前爪切りで痛い思いをしたなど理由はいくつか考えられる。爪切りの持ち方が不安定で、爪をカットする際に余計な振動や力が加わって嫌がるという場合もあり得るので、爪切りの刃が爪に対してなるべくぶれないように握り方に気をつけるというのも1つのポイントかもしれない。
歯磨きを嫌がる場合には、いきなり歯ブラシを使って磨くのではなく、少しずつ慣れさせるということはもちろんだが、歯ブラシが大き過ぎる、硬過ぎる、磨き方が強過ぎる、歯や口の中に何か問題があるというようなことが原因であることもあるので、一度チェックしてみるといいだろう。
参考までに、耳そうじに慣らすため、おやつを用いた以下のトレーニング動画では、イヤークリーナーに慣らすだけでもかなり時間をかけている(英語)。