■Impression
イヤーパッドでそんなに音が違うのかと思ったが、試聴してみると、これが予想以上に違っている。リケーブルよりも別のヘッドホンに交換した感じに近い。バランスドで聴くYuji Ohno & Lupintic Five with Friends「BUONO!! BUONO!!/THEME FROM LUPIN III 2015〜ITALIAN BLUE ver」(48kHz/24bit)は中低域に厚みがあって高域はやや控え目に、モニター色は一切なく長時間、音楽を楽しめる音色になっている。とは言えばbeyerdynamicの特徴である解像度が高く音の微粒子が空間に飛び散るような繊細な表現はしっかり受け継がれている。
アナリティカルにイヤーパッドを交換。交換作業はハウジングの切り欠きに合わせてイヤーパッドを回転させておこなう。工具などは不要だが、瞬時に交換することはできず作業に3〜4分はかかる。同じ曲を聴くと今度は高域のヌケが良くなり、今まで抑えられていた音が奔流となって耳に飛び込んでくる。この音を聴き続ければ疲れてしまいそうだが、『T1 2nd Generation』を思わせるキラキラとした輝くような高域だ。
これはどちらのイヤーパッドで聴くか悩んでしまいそうだ。私なら、普段はアナリティカルにしておいて、休日にまとめて音楽を聴くときはバランスドにするかな。それとも普段はバランスドで聴いて、試聴の時だけアナリティカルにするか。やっぱり悩んでしまう。インピーダンスは250Ωと高めなので、ドライブ能力のあるヘッドホンアンプと組み合わせないと実力を発揮できない。『DT 1990 PRO』は10万円以下でbeyerdynamicの世界を堪能できるハイコスパなヘッドホンと言える。
試聴はヘッドホンアンプにマス工房『model404』を使いアンバランス接続でおこなった。
文/ゴン川野
オーディオ生活40年、SONY『スカイセンサー5500』で音に目覚め、長岡式スピーカーの自作に励む。高校時代に150Lのバスレフスピーカーを自作。その後、「FMレコパル」と「サウンドレコパル」で執筆後、本誌ライターに。バブル期の収入は全てオーディオに注ぎ込んだ。PC Audio Labもよろしく!
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