
■連載/あるあるビジネス処方箋
40~50代の上司の言動を見ていると、まるで子どものように幼いと感じることがないだろうか。私は会社員の頃、数えきれないほどにある。ひとことでいえば、精神レベルが低いのだ。きちんとした人もいるし、立派な人格者ももちろんいる。だが、明らかに幼く、10代の少年のままのような人もいる。10~20歳下の部下に真剣に叱ったり、感情的になったり、本当に幼い。今回は、その謎に迫る。私の会社員の頃や、取材で知り得た情報をもとにしたものである。
■昇格基準に「人格」などがない
たしかに上司は、精神面で幼いところがある。少なくとも、精神レベルが高く、成熟した人ばかりではない。特に40代後半までくらいは、「大人になりきれていない人」がいることがある。それ以上の年代になっても、幼い人はいる。
この大きな理由は、多くの会社では、管理職になる基準、つまり、昇格基準に「人格」「性格」などがない場合が多いからだ。一方で、この20年前後は、成果や実績を重視する傾向がある。つまり、仕事で一定の結果を出していると、人格や性格に少々の問題があろうとも、管理職になり、部下をもつことができる。
このことが、誤解されている場合がある。今なお、「上司は、人格までも評価されたうえで、管理職になった」と思い込んでいる人がいる。これは、事実関係として誤りであり、説得力がない。今の人事制度では、精神的に成熟しておらず、幼い人でも、管理職になることは十分に可能なのだ。
■守られた中にいる
精神が成熟するためには、環境が大切だ。ある程度、厳しい中で生きてきた人は比較的、厳しい見方をする傾向がある。例えば、会社を創業すると、しばらくは資金繰りなどで悩むことが増えてくる。その中で、創業前の思いや考えなどを妥協したり、あきらめたりすることもある。お金を借りるために、金融機関や知人などに頭を下げることもあるかもしれない。こういうプロセスで良くも悪くも、心も意識も成熟し、甘いも酸いもかみわけた人になっていく。
会社員の場合、このような経験をすることはまずない。労働法などできちんと守られているから、どこかで甘えが出てくる。思い上がることもある。ある意味で、会社に残る限り、怖いものがない。部下に対しても、必要以上に横柄になったりする。それを抑えるものがないし、抑えなければいけない理由がない。パワハラなどは、このような下地があるから起きやすいともいえる。