■DAZN for docomoを安く提供できるカラクリは?
房野氏:ドコモはdTVと合わせて契約すると料金が安くなるという話で、原資についてはどうなんですか?
法林氏:あまり難しく考える必要はないんじゃないかな。たとえば、健康サービスがセットになったドコモの「dヘルスケアパック」には、ドコモヘルスケアだけでやっているサービスもあれば、オムロンとやっているものもある。それをセットにして安くしている。それと同じことであって、dTVを値引いてDAZNを売ろうとしているとかではなくて、単純にセットにして安くするということだけだと思う。
房野氏:DAZNだけ契約してもいいんですよね。
法林氏:もちろんDAZNだけでも契約できます。dTVを見ている人と親和性は高いと思うけど。
石川氏:490万会員をピークに、dTVの契約数が減っているんですよね。
石野氏:BeeTV(エイベックスとドコモの合弁会社が提供している動画配信サービス)と合わせて500万を超えて、そこからちょっと落ちた。
法林氏:僕が見ている限りだけど、dTVはすごくがんばっている。ダウンロードに対応したり、対応デバイスを広げたり、いち早くApple TVやAmazon Fire TV、Chromecastなどに対応させて、いろんな環境で観られるようにしてきた。ただやっぱりこの半年くらいは、NetflixやAmazonのプライム・ビデオに、オリジナルのすごいコンテンツがたくさん出てきた。Amazonは新作の映画やドラマをすぐに見放題に加えるケースもあるので、dTVもちょっとつらい。契約数減の原因になっているのかなと思う。そこをテコ入れするのにDAZNは武器だと思う。Jリーグを観ようと思ったらDAZNに行くしかない。だから結構いいと思います。
石川氏:コンテンツを提供する側はいろんなプラットフォームで出したいし、プラットフォームを提供する側はオリジナルで独占配信したいので、その点、DAZNは強いかな。さらに、お金をいっぱい持っていることと日本市場の特性を考えると、次にプロ野球コンテンツがどうなるかだな。
法林氏:デバイスの話に加えると、dTVやDAZNはApple TVやFire TVでちゃんと動くんですけど、スポナビライブはApple TVに対応、Chromecastに対応していると言いつつ、Miracastというか投影しているだけなんですよ。アプリは提供していない。Apple TV用のアプリは提供せず、Apple TVにミラーリングしているだけ。それって対応というのかな。
石川氏:たとえばiPhoneで電話を使っているときには見られない。
法林氏:そういうこと。スポナビライブは根本的な部分で少しマズイという気がしている。ミラーリングのためにスポナビライブにお金を払うのはどうかと思う。テレビ用のアプリを用意してといいたい。DAZNはUIに細かい注文を付けたいところはあるんだけど、ある程度のレベルはクリアしている。
房野氏:DAZNにしてもいいけれど、裏切られるのが怖いという声もあります。やるといってやらなかったり、Jリーグ全中継と言っていますけれど抜ける試合があるという噂があります。
石野氏:確かに、DAZNのことを調べたときに文句を言っているブログはそこそこ見ました。
房野氏:どこか信用できないところがあるようですね。また、画質などに少し不安があって一歩踏み出せない状態の人もいそうです。地上波のテレビ放送から離れて、スマホでちゃんと見られる体勢に、これから日本はなっていくのでしょうか。
法林氏:僕はそうなると思います。スカパー!やWOWOWのようなスタイルは、なくなりはしないだろうけど、かなり少なくなっていくし、コンテンツを買えなくなっていくだろうし、二次配信に頼らざるをえない状況になっていくんじゃないかと思う。
昔のデジアナ変換、チャンネル再編前の地方のUHF局のようになりかねないくらい、僕はオンデマンド配信が広まると思います。映画に関してはいえば、オンデマンドで不満はないですね。60インチのテレビで観ても、そりゃブルーレイディスクだと勝負にならないけれど、DVDのコンテンツを拡大して観ているんだったら普通に見られます。全然不満はない。ただ、DAZNのスポーツに関して1つ注意すべきなのは、どこからデータを持ってきているか。サッカーなど、ヨーロッパのスポーツ中継はフレーム数が日本と違うみたいで、ちょっと違和感が残る。
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