■腰痛にマッサージは逆効果だった
坂戸先生は、腰痛は自分で治すものだという。これまでの治療院や整体などに通って、こつこつ施術を受けていた人も、これからはセルフメディケーション時代。腰痛も自分でメンテナンスする方向にシフトしていきたい。そこで必要なのが、専門的なメソッドだ。坂戸先生に、そのメソッド「緩消法(かんしょうほう)」の一部を教えてもらった。
「腰痛などの痛みは、筋肉の緊張(硬い・コリ)によって起こっています。緊張した筋肉を軟らかくすれば痛みは消えるのですが、筋肉を確実に軟らかくできる方法が今までなかったために、慢性痛は治らなかったのです。筋肉が緊張しているときには、筋肉には縮む力が働きますので、骨をずらして骨格を歪めます」
一般的には骨格矯正や温め、マッサージなどの方法があるが、これらは筋肉の緊張を和らげることはできないのだろうか?
「骨格を矯正して慢性痛が緩和することもありますが、筋肉が緊張したままではまた歪んでしまうので、骨の矯正を延々と続けなくてはなりません。温めるなどで慢性痛が緩和されることもありますが、延々と温め続けることは難しいです。
また、マッサージで筋肉が軟らかくなると思われる方が多いですが、筋肉の線維が断裂して修復している状態を“揉み返し”と呼び、揉み返し後の筋肉内には傷が残るので、この揉み返しが起これば起こるほど筋肉は緊張していきます。今まで良かれと思って行ってきたことが、結果悪化していることもあるのです」
では、腰痛の原因となる筋肉の緊張を緩めるためには、どのような方法が有効なのだろうか?
「慢性痛を治すためには、筋肉を傷付けないまま軟らかくして痛みを消すこと、骨格を歪ませないことが重要になります。そこで、2007年に開発したのが“緩消法”という筋肉弛緩法です。緩消法は、筋肉を軟らかくする際に、筋肉を傷つけないまま軟らかくできるので、慢性痛を確実に治すことができるようになりました。このことは、2012年に論文で発表しています。
緩消法は、緊張した筋肉に指先を軽く押し当てたまま筋肉を伸縮させることによって筋肉を軟らかくする方法です。治療方法ですから正確に行わないと筋肉は軟らかくなりません」
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