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2018.03.27

「部下は動かそうとすると動かない」マネジメントの基本は正対主義にあり

 凡百のビジネス書を読んでも、なぜコミュニケーションスキルが上達しないのか。実は、コミュニケーションをスキルと考えること自体が間違っていたのだ。古くて新しい、目からウロコのマネジメント論をシンクタンク・ソフィアバンク代表の田坂広志さんに伺った。

 2000年前後から、米国ビジネススクール流の経営ノウハウが大量に流入してきた。それは、日本企業が「失われた10年」で疲弊の色を濃くしていた時期と重なっている。MBAやコンサルティング会社がもてはやされ、書店にはビジネス書があふれた。組織のマネジメントにおいても、数多くのノウハウが紹介された。しかし、失われた10年は20年となり、現在に至るまで大きな成果は見られない。その理由は何か?

『なぜマネジメントが壁に突き当たるのか』などの著作を持つ、多摩大学大学院教授・田坂広志氏は、「マネジメントの本質が見失われている」と警鐘を鳴らす。 

◆部下は動かそうとすると動かない◆

「組織が大きな成果を挙げるには、メンバーひとりひとりが自分の役割を理解し、主体的に行動することで、個人ではなしえないチーム力を発揮する必要があります。上司は部下にスムーズに動いてもらうべく、様々な配慮をしますが、その時点ですでに本質が見失われているのです。部下に対し、どれほどの好意を示し、気配りをしても、それが、自分の意のままに他者を動かそうという〝操作主義〟の下で行なわれているのであれば、部下からの信頼は得られず、動いてくれません」

 例えば仕事が辛い時、上司が若手社員に対して、〝ガス抜き〟と称して、仕事でのフラストレーションの解消を目的に、飲みに連れ出すことがあるだろう。一見、このチームは若手に対する気配りができているように映るかもしれない。しかし、連れ出される若手は、そうした配慮を、自分たちのやる気を引き出そうとする計算に基づいた行動、として受け取るのだという。

「部下は、自分たちのためにではなく、自分たちを動かすために上司がやっていると感じた瞬間、動かなくなる。人とは、そうした相手の本心を恐いくらいに敏感に嗅ぎ取ってしまうものなのです」

 人の行動が他人に影響を及ぼす度合いについて、話の内容などの言語情報は全体のたった7%に過ぎず、それ以外の口調などの聴覚情報、仕草などの視覚情報の影響が圧倒的に大きいとする、心理学の『メラビアンの法則』が連想される。

 したがって、人を説得する、部下のモチベーションを上げるといった、テクニックやノウハウをいくら駆使しても、「それが操作主義に基づいている限り、うまくいかないのは当然の結果なのです」と田坂氏は指摘する。

 ただ、操作主義のマネジメントでも、部下が動いたかに見えるケースはあるという。部下が上司の人事権などを意識し、部下の側にも「計算」が働いている場合などだ。しかし、そうした打算で動いているチームは、メンバー同士の信頼関係は生まれず、徐々に弱体化していくことは明らか。

 では、操作主義に取って代わるマネジメントとは、いかなるものであろうか? 田坂氏は、〝正対主義〟によるマネジメントを掲げる。

「正対主義とは、上司がひとりの人間として、深い敬意をもって、部下というひとりの人間と正面から向き合うことです。これを肝に銘じるだけで、コミュニケーションの質が劇的に変わるのです」

●操作主義とは

直接的な対応や指示とは異なり、相手の主体的な判断や意思を、指示する側が意図的に誘導したり、変化させる工作をすること。例えば「馬を速く走らせるために鼻先にニンジンをぶら下げる」などが該当。

 ●正対主義とは

人と人とがコミュニケ―ションをする時に、真正面から相対すること。田坂氏のマネジメント論の中核をなす概念。シニカルな視線ではなく、お互いの人生に深い敬意を持つことが不可欠とされる。

 

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