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【開発秘話】2000万本以上売れている井村屋の『クリームチーズアイス』

2017.02.18

■「酸味不足」を指摘され続ける

 しかし、開発は使い慣れていなチーズを使うこともあり難航する。森岡さんによれば、同社では半年ほどで商品を開発するのが一般的だが、『クリームチーズアイス』に関しては大幅に超過。2014年の秋冬シーズンに合わせて発売する予定だったが、間に合わなかった。

 最も難航したのは、味と食感であった。『kiri(R)クリームチーズ』が持つ独特の酸味とコク、そして噛み応えのあるチーズならではの食感を再現することだった。

 酸味やコクは、原材料の配合バランスなどを細かく変えて試作をつくり検証。アイスとチーズを交互に食べる日々が続き、途中でイヤになることもあった。チーズソースは冷たい状態でも濃く感じられるようにしたため、常温で食べるとさらに濃く感じられる。チーズを繰り返し食べることはしんどい作業であった。

 ベル ジャポンには節目節目で、試食に協力してもらった。そのたびに、酸味不足を指摘されたという。「酸味が足りず、『kiri(R)の味がまだ薄いです』と毎回のように言われ続けました」と森岡さん。そのたびに、酸味料を増やし甘みを減らすといったことを繰り返した。

 それに、テストキッチンで試作したものが、工場で問題なく大量生産できるとは限らない。工場では大量のチーズを使った経験がなかったことから、試作品と同じ味を再現することができず、そのたびに、原材料の配合が見直されることになった。また、ミックスと呼ばれる原料を配合したものの粘性が、チーズを使ったため高くなったことから、生産ラインを問題なく稼働させることも課題となった。今までとは性質が違う原材料を問題なく使うには、時間を要した。

 一方、食感については、つくり方を工夫すると同時に、原材料にグルコマンナンを使うことで理想の噛み応えを実現した。グルコマンナンはコンニャクの主成分。「少し加えることで、コンニャクまでとはいかないものの、やや粘性のある固い食感を実現しました」と森岡さんは話す。

 グルコマンナンをアイスに使うことは決して珍しいことではないが、たどり着くまでに様々な素材を試した。「様々なデンプンを試したほか、安定剤や増粘多糖類も試しました。最初はデンプンを使うつもりでいましたが、固くなりすぎることから、他のものを探すことになりました」と森岡さん。開発部内からグルコマンナンのアイデアが出たので試したところ、ちょうど良い固さが得られたとのことだ。

■20%のリピーターが売上の半分をつくる

 完成した『クリームチーズアイス』は、発売と同時に生産が追いつかなくなるほど急激に売れた。「当社のアイスでは過去にない売れ行きで、つねに品薄状態でした。毎月、『どこで売っているんですか?』という問い合わせを非常に多くの方からいただいたほどです」と振り返る森岡さん。発売から3か月間は、ずっとこのような状態だったという。

 急激な人気に火をつけたのは購入者。kiri(R)のブランド力と話題性から、発売と同時に購入者がSNSで話題にした。購入者には『kiri(R)クリームチーズ』のファンが多く、「kiri(R)の味を再現している」「美味しい」といった高評価の言葉が、SNS上で広がっていった。

 また、『クリームチーズアイス』はリピーターのまとめ買いが顕著だという。同社の調査によれば、購入者の20%がリピーターだが、リピーターの購入が売上の50%近くを占めている。強力なリピーターのまとめ買いに支えられたこともあり、発売から半年間で1100万本も販売。計画が半年で150万本だったので、いかに売れたかがわかるだろう。

 しかし、売上好調にもかかわらず、2016年5月から販売を休止する。理由は、夏場の品質面を考慮したことと、冬向けの濃厚アイスであることから販売にメリハリをつけるためであった。販売は2016年9月に再開されたが、売上好調だったことを受け、通年で販売することした。

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