
兵庫医科大学 糖尿病・内分泌・代謝内科の森脇 優司教授らと明治の共同研究グループは、Lactobacillus gasseri PA-3株(以下 L.gasseri PA-3株)を含むヨーグルトが、腸管からのプリン体の吸収を低減し、血液中における尿酸値の上昇を抑制するメカニズムを、ヒト試験において解明。この研究成果は、2月16日~17日に開催された第50回日本痛風・核酸代謝学会にて発表された。
研究では、まず20歳以上の健常成人男性23名を被験者とし、ランダムに2グループに分けた。試験食品として、一つの群はL.gasseri PA-3 株を含むヨーグルトを、他方の群はL.gasseri PA-3 株非含有のヨーグルト(対照ヨーグルト)を、それぞれ試験日前の3日間摂取。試験当日は、試験食品とプリン体を同時に摂取し、経時的に血清尿酸値を測定した。その後、試験食品の影響を排除するため、2週間試験食品の摂取を中断した後、摂取する試験食品を入れ替え、同様の試験を実施した(二重盲検クロスオーバー試験)。
試験の結果は下図のとおりで、両群ともプリン体の摂取後に尿酸値は上昇しましたが、L.gasseri PA-3 株を含むヨーグルトの摂取群は、対照ヨーグルトの摂取群と比較して尿酸値上昇の抑制が確認された。特に、プリン体摂取後30分と60分では、統計学的にも有意な抑制が認められた。
プリン体は食品中に含まれる旨味成分などが胃腸内で分解されて発生し、腸管で吸収された後に肝臓で代謝され尿酸となり、主に尿中へ排出される。過去に実施したヒト試験では、L.gasseri PA-3 株を含むヨーグルトを継続摂取することで尿酸値が改善されることを確認していたが、経時的変化を記録した今回の試験から、L.gasseri PA-3 株を含むヨーグルトの摂取により、腸管からのプリン体の吸収を低減。血清尿酸値の上昇が抑制されることが確認でき、L.gasseri PA-3 株を含むヨーグルトの尿酸値改善効果のメカニズムをヒト試験にて明らかにしたものといえる。
(※):p値が0.05未満の場合は統計的に有意と言えるので、優位性が認められます。
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文/編集部