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なぜ、犬による子どもの咬傷事故は減らないのか?

2017.02.10

その結果を分析したところ、犬が「嬉しがっている」「怒っている」時は適格に認識でき、「不安や怯えを感じている」時にも予想以上に認識はできたそうだ。さらに、「怒っている」犬については、「嬉しがっている」「怯えている」犬に比べてより的確に認識できたと。

ところが、「怒っている」犬には近寄りたくないと思う一方で、「嬉しがっている」犬と「不安や怯えを感じている」犬では大差がなかったという。つまりは、「怯えている」犬に近づくことには「怒っている」犬に近づくのと同様の注意が必要であり、リスクがあるということを子供たちはあまり認識できておらず、「嬉しがっている」犬と同様に近づいてしまいがちであるということになる。

窮鼠猫を噛むではないが、犬も不安や恐怖を感じている時、必要以上に近寄ってこられれば咬むことがあるというのはご存知のとおり。人にはパーソナル・スペースというものがあると言われるように、動物にもテリトリーという意味の他に、やはり他者にそれ以上近寄って欲しくない範囲距離というものがあると言っていいだろう。不安や恐怖を感じている時には、それもなおさら敏感になる。子供たちがその曖昧さを判断するのは難しい。そこには、大人の助けが必要になることは言うまでもない。

近年、動物とのつき合い方も含めた子供たちへの動物を介した教育活動というものがより注目され、各地で活動も行われている中、同時に咬傷事故のような悲しいケースが発生しないよう、犬と接する時には必ず大人が付き添う、犬が示すサインを子供たちに教えるなど、周囲の大人たちが子供たちをリードしてあげることはとても重要なことだ。未来ある子供たちに残したいのは、恐怖や傷跡ではなく、動物の魅力や素晴らしさと、それを愛しむ心なのだから。

ここで日本における犬による咬傷事故発生件数(届け出があったもののみ)を見てみると、2014年度で4,364件。このうち、犬の状況としては「リードを付けて散歩中」に発生しているケースがもっとも多く(1,343件)、被害に遭った側の状況としては「通行中」(2,222件)に次いで、「犬に手を出した」(682件)となっている(*4)。

飼い主としては、しつけはもちろん、散歩中にも気配りが必要であり、犬を飼育していない人も含めて、犬と接する時のポイントというものをもっと広く知る必要があると言えるのではないだろうか。私たちは、子供たちに犬のことを教え、伝えてあげられるだけの十分な知識や経験、情報をもちあわせているのだろうか?と今一度見直してみたい。

参考資料:
(*1)Nonfatal Dog Bite — Related Injuries Treated in Hospital Emergency Departments –United States, 2001 / Centers for Disease Control and Prevention / MMWR July 4, 2003 / 52(26);605-610
(*2)Total number of hospital admission episodes for dog bites and strikes in England from March 2013 to February 2015 / Statista
(*3)Children are unware of the risks of approaching frightened dogs / The British Psychological Society
(*4)動物愛護管理行政事務提要(平成27年度版)「犬による咬傷事故状況」/環境省

文/犬塚 凛(ペットゥモロー編集部

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