■通信速度
WX03は4×4MIMOという通信形式に対応している。これは基地局とルータの間で4つの電波を飛ばして、複数の電波を同時に送受信することで高速な通信を実現するというものだ。これはWX01の世代から始まった技術だが、従来、CA通信を使ったWiMAX2+と比較して、高速な通信数値は記録していなかった。少なくとも僕の使った限りでは。
これが現在では飛躍的な高速化を果たした。CA通信をするW03と比較して、ほぼあらゆる場所での計測でW03を圧倒する通信速度をたたき出した。これはルータ、基地局双方の4×4MIMO通信技術が大きく進化した結果だろう。WX01の時点では新技術だったので、この2年で大きく進化したのだろう。
東京都内のあちこちで計測したところ、屋内での最高速度は284.8Mbps、屋外では158.8Mbpsを記録した。屋内での速度のほうが速いのは4×4の4電波は4つの電波がいい感じに反射して収束したときにもっとも通信状態がいいためだ。普通のモバイル通信では屋外のほうが速度が出るのが普通だが、そこが違う。
また、この屋内のスピードはショッピングモールなどパブリックスペースでのことであり、UQの屋内アンテナがあったおかげということだろう。どんな屋内でも屋外よりも速いわけではない。
それにしても284.8Mbpsは速いが知人には300Mbpsを超えたという人もいるので、電波状態とロケーションによっては300Mbpsオーバーも現実的ということなのだろう。また、アップロードに関しても20Mbps近く出るなど、明確に高速化している。
2月2日に3日間の通信容量制限も緩和されるなど、高速通信を生かす環境が整ったことにより、ユーザーはこの高速通信をより有効に使うことができることだろう。
UQコミュニケーションのWX03は高速な通信環境が欲しい人にお勧めなモバイルルータだ。
■関連リンク
「WX03」商品ページ
http://www.uqwimax.jp/products/wimax/wx03/
UQサイト「WiMAX 2+サービスにおける速度制限の今後の対応について」
http://www.uqwimax.jp/information/201612221.html
UQサイト「4×4MIMOとは?」
http://www.uqwimax.jp/signup/pop/4x4mimo/
文/一条真人
ITジャーナリスト。雑誌「ハッカー」編集長、「PCプラスONE」編集長などを経て現在にいたる。著書50冊以上で、近著は「はじめてのChromeBook」(インプレスR&D)。IchijoMasahto。本名:OSAMU SAKATA。
■連載/一条真人の検証日記