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MotoGPの経営学「勝てないチームがスポンサーを獲得できる理由」

2017.01.22

──スポンサーにはチームのことをどのようにアピールするんですか?

 まず大事なのは、「MotoGPとは何か」をしっかり説明することだ。どんな選手権なのか、年間何戦行われているのか、観客動員数はどうか、テレビなどのメディアはどうMotoGPを扱っているか、SNSではどうか──。

 それから、MotoGPには12チームしかないことを強調する。そのうち半分はファクトリーチームで、半分はプライベーターチームだ。テック3は6つしかないプライベーターチームのひとつ、ということになる。世界にたった6つだよ!(笑)。それだけでもスゴイのに、プライベートチームはファクトリーチームよりもずっと安い金額で、スポンサーにMotoGPを提案できる。これは大きなメリットだよ。

 さらにプライベーターチームは、向こう5年にわたるMotoGP参戦権の契約を、プロモーターであるドルナと交わしている。その間、新しいチームは参戦できないことになっているんだ。

 これこそが我々の価値だ。スポンサーには、まずMotoGPの一員になれるという可能性を示す。そして、その権利は独占的ものであるということもね。これがとても重要なんだ。

──ファクトリーチームよりも低コストなスポンサーフィーでMotoGPに参入できたとしても、スポンサーはやはり勝利を求めるのでは?

 もちろん、すべてのスポンサーは勝つことを欲しているよ。だけどね……。今のMotoGPで勝つためには最高のライダーが必要なんだよ。マルク・マルケス、バレンティーノ・ロッシ、ホルヘ・ロレンソというトップ3のライダーがね。でも、彼らトップ3ライダーを雇うには、それだけで1000万ユーロ(およそ12億円以上)は必要なんだ。

 一方で我がチームはどうか。総予算ですら1000万ユーロ以下だ。だから、スポンサーにはこう言うんだ。「勝ちたいって? 分かりました。では少なくとも2000万ユーロ(およそ24億円以上)は持って来てください」ってね。

 そう聞いたら、まぁみんな「ワオ、高すぎるな」と言うよね(笑)。そこで私はこう話す。「でも、そんなにコストをかけなくても、あなたのブランドは、たった12チームの枠しかないMotoGPという特別な世界に参画し、楽しむことができ、時には表彰台に立てるかもしれない」ってね。表彰台に立つのは、ホントに「時には」かもしれないけどね(笑)。

 それに、MotoGPチームのスポンサーになれば、いろいろなビジネスチャンスが広がる。ヨーロッパでのGPではホスピタリティブースを構えていて、そこでは食事をしながらB to Bのミーティングがかなり頻繁に行われているんだよ。

──「勝つことだけがレーシングチームの価値ではない」と率直にアピールするわけですね。

 そういうことだ。我々プライベーターチームが勝てる可能性は、ゼロではないけれど、正直なところほぼ不可能に近い。ターゲットは良くて5位になることで、ごくまれに、すごくコンディションが合った時に、表彰台に立つことができる……かもしれない。我々と同じプライベーターチームであるLCRホンダのカル・クラッチローが2016年には2勝を挙げたみたいにね。だけどまぁ、普通に考えればほとんど不可能だ。

 でも、勝つだけがすべてじゃない。テック3のようなプライベーターチームでも、スポンサーになれば投資に対して多くのリターンを得ることができる。MotoGPのパドックに入ることができ、ブランドを宣伝し、ビジネスチャンスを広げることができる。顧客を招待したり、重要な関係者を招待することもできるんだ。

──大きな契約を得るために、あなたはチームオーナーとしてどんなことを心がけていますか? ビジネス面での効果をアピールすることに加えて、例えば、誠実であるといったようなマインドは必要でしょうか?

 それはとても大事なことだ。30年近くこの仕事をやってきて、私は常にオープンであり、真面目であり続けてきた。そのことは多くの人々に理解されていると思う。スポンサーは、ブランドの露出効果を狙ってMotoGPにやってくるのは確かだが、その基点となるのは「チーム」という団体ではなく、私個人なんだ。私という人間を通して、スポンサーはMotoGPの世界に入ってくる。だから人間性はとても大事だと思うよ。

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