
■連載/ペットゥモロー通信
ペットの健康を自分でチェックする方法《目、鼻、口、耳編》
愛犬や愛猫の顔は、体のパーツの中でも飼い主さんが普段からいちばん見ているところだと思います。でも、ただ顔を見ているのと、健康チェックとでは、意味が違います。目は赤くないか、鼻は乾いていないか、歯垢はたまっていないか、耳を痒がっていないかなど、よく観察しましょう。
もし、愛犬や愛猫の体の異変を感じたら、そのままにせず、すぐに掛かりつけの動物病院で診察を受けさせてください。
目を見よう
下顎と頭を手で支えて、それぞれの手の親指と親指で優しく目を開かせます。白目や結膜の状態、まぶたの内側もチェックしましょう。
・ 目ヤニの量と色はどうか……普段と比べて目ヤニの量が多くないか、いつもと違う色の目ヤニが出ていないかを見ます。気になる目ヤニが付いている場合は取り除かずに、動物病院で診察を受けさせましょう。
・ 目を細めていないか……目の表面の傷による痛みが原因かもしれません。
・ 瞳が白く濁っていないか……瞳の白い濁りは、白内障の可能性があります。初期段階で気付いて治療すれば、進行を遅らせることができます。
鼻を見よう
犬や猫の顔を両手で支えて、鼻の状態をチェックします。正面から見るだけでなく、下からも覗き込んで、鼻の穴も見てください。
・ 鼻が適度に湿っているか……健康であれば、鼻は湿っています。眠っている時は、乾き気味でも正常なので問題はありません。鼻の表面にひび割れが見られる場合は、病院で診察を受けさせましょう。
・ 鼻水は出ていないか……鼻水の色、量、形状を見ます。どんな時に鼻水が出るのかも、観察しましょう。無色透明の鼻水が少し出る場合は問題ないですが、膿状の鼻水が見られた場合は、すぐに動物病院で診察を受けさせてください。
・ 鼻の色は変わりないか……急激な変色があれば、内臓系の疾患、栄養バランスの崩れの可能性が考えられます。
口を見よう
片方の手で上顎、もう片方の手で下顎の付け根を持ち、口を開けさせます。愛犬や愛猫が口の中に手を入れても噛むことのないよう、子犬や子猫の頃から慣らしておくと、チェックしやすくなります。
・ 舌と歯茎の色はピンク色か……ピンク色であれば健康状態は良好ですが、それ以外の色の場合は、何かしらの疾患が疑われます。
・ 気になる口臭はしないか……普段と違う強いニオイがする場合は、歯周病や内臓疾患の可能性もあるでしょう。
・ 口内のデキモノとヨダレの有無……口内にデキモノや異物がないかを見ます。通常と比べてヨダレが多く出る場合は、傷や炎症が疑われます。
・ 歯、歯茎、歯石の状態を見る……歯のグラつき、歯茎の炎症が見られたら、動物病院で診察を受けさせましょう。
耳を見よう
耳の付け根に手を添え、もう片方の手で優しく耳を広げて、内側を見ます。健康であれば、キレイな薄いピンク色です。赤み、デキモノについても忘れずに見てください。垂れ耳の犬や猫は耳の病気にかかりやすいので、特に注意が必要です。
・ ニオイや耳アカの色が気になる……耳アカの色が茶か黒く、普段と違うツーンとするニオイがする場合、耳ダニやマラセチア繁殖の可能性があります。老齢になると免疫力が低下し、病原菌が繁殖しやすくなります。
・ 耳アカが多くないか……耳アカの量が多く、耳をやたらと気にする仕草が見られたら、動物病院で検査を受けましょう。
【監修】井本史夫(いもとふみお)。獣医師。井本動物病院(横浜市青葉区)院長。帯広畜産大学畜産学部獣医学科卒。「ヒトと動物との関係学会」初代事務局長。著書に『集合住宅でペットと暮らしたい』(集英社)、『間違いだらけの室内犬選び・育て方』(講談社)などがある。http://imoto-ahp.com/
また、2015年には歌人・井本猫良(いもとねこら)として、歌集『猫楽吟』(源草社/1,296円)を出版。
取材・文/丸山美恵子(ペットゥモロー編集部)