■商品として魅力的か?★★★★(★5つが満点)
もうひとつ『フリード』と『フリード+』の長所を挙げると、カーナビにスマートフォンをつなげると「CarPlay」と「Android Auto」が使える点だ。スマートフォン経由でインターネットに接続して、Google Mapsを使ったり、ストリーミングで音楽や動画を楽しんだり、クルマの効能をより一層と拡張して使うことができる。
「このクルマを買ってくれそうなユーザーの調査を行ないましたが、特に若い人たちの間では“車内でインターネットに接続できるか?”“自分のスマートフォンやタブレット端末を車内外の区別なく使いたい”という要望が多かったのです」(開発担当者)
『フリード』と『フリード+』を買ってくれるような人がクルマに何を求めているのか?若者たちは「走る、曲がる、止まる」というクルマの基本性能より「インターネットとつながる」という新しい価値を重視している。それを見逃さなかった開発陣は、きちんとユーザーと社会を向いていた。当たり前のことのように聞こえるかもしれないが、変化の激しい現代ではこれがなかなか難しい。
残念なことに『フリード』より高価なクルマでもインターネットにつなげられない日本車はまだ多い。今年発売された日本車の中には、輸出仕様では可能なのに、日本仕様では不可能というものもあった。ユーザー軽視も甚だしい。
最新の安全デバイスも装備され、使いやすく、乗りやすい『フリード』と『フリード+』だが、最大の難点はエクステリア(外観)デザインに、それが体現されていないことだ。フロントフェイスは『フィット』のイメージが強過ぎて、サイドやリアビューは没個性。全体としては、凡庸で退屈。とてももったいないと思った。
■関連情報
http://www.honda.co.jp/FREED/
文/金子浩久
モータリングライター。1961年東京生まれ。新車試乗にモーターショー、クルマ紀行にと地球狭しと駆け巡っている。取材モットーは“説明よりも解釈を”。最新刊に『ユーラシア横断1万5000キロ』。
■連載/金子浩久のEクルマ、Aクルマ
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