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フィアット『アバルト124スパイダー』はコモディティ化の象徴か

2016.11.13

◎商品として魅力的か? ★★★★★(★5つが満点)

 このクルマには、オリジナルが存在している。1960から80年代に、フィアットは『124スパイダー』というオープン2シーターのスポーツカーをイタリアで製造していた。レーシングコンストラクター/チューナーであるアバルト社がそれをチューンした『アバルト124スパイダー』は世界ラリー選手権で大活躍したりして、今でもマニアの間では絶大なカリスマ性を持っている。

フィアット『アバルト124スパイダー』はコモディティ化の象徴か

 この広島製の『アバルト124スパイダー』はオリジナルの名前とイメージを用いて、マツダと協業して造り上げられたものだ。アイコニックなクルマを歴史の中かサンプリングし、現代のクルマとして付加価値を施した商品企画としては『MINI』やフィアット『500』などと同じ類のものだ。

 だから、このクルマに乗って「オリジナルとは違う」「オリジナルには及ばない」と批判するのは的外れもいいところだ。時代が違うわけだし、同じものを再現しようとしたって不可能で、その意味もないからだ。同様に、マツダ『ロードスター』との違いが大きくない点を難じるのもナンセンスだ。カジュアルなオープン2シータースポーツカーは、簡単に屋根が開け閉めできて、軽快に走るところに存在意義があって、エンジンや操縦性の細かな違いは二の次、三の次で一向に構わない。それよりも大切なのは、デザインだろう。キュートでオリジナリティーの高さが求められる。

フィアット『アバルト124スパイダー』はコモディティ化の象徴か

 個人的な好みを含れば、『アバルト124スパイダー』はその点で申し分ない。優等生のようなマツダ『ロードスター』に足りない魅力を持っている。サーキットのラップタイムを追求するようなハードコアでストイックなスポーツカーとは違うのだから、このクルマに乗って眼を三角にするのは野暮の骨頂だ。

フィアット『アバルト124スパイダー』はコモディティ化の象徴か

 これから自動運転や電動化などの革新が進んでいくにつれて、クルマはコモディティー化し、自動車メーカー同志の協業は進んでいくことは間違いない。そうなった場合に独自性を強く訴求できるのはデザインとブランドイメージしかない。その点で、このクルマは時代を先取りしていると言えるのだ。『アバルト124スパイダー』は、カジュアルで親しみやすく、デザインに独自性のあるスポーツカーとして成功しているし、クルマの造り方として大いに示唆に富んでいる。これでいいのだ。

■関連情報
http://abarth.jp/124spider/

文/金子浩久

モータリングライター。1961年東京生まれ。新車試乗にモーターショー、クルマ紀行にと地球狭しと駆け巡っている。取材モットーは“説明よりも解釈を”。最新刊に『ユーラシア横断1万5000キロ』。

■連載/金子浩久のEクルマ、Aクルマ

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