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2016.11.04

千葉大学の研究グループが重症アレルギー疾患のメカニズムを解明

厚生労働省健康局がん・疾病対策課がまとめた「アレルギー疾患の現状等」によれば、平成26年時点の推計で喘息患者は117万7000人、花粉を含むアレルギー性鼻炎患者は66万3000人だった。ただし、これは医療機関を受診した患者数で、花粉症に関しては日本国民の5人に1人が悩まされている、ともいわれてる。

そんな中、千葉大学大学院医学研究院・中山俊憲教授の研究グループは、喘息や好酸球性副鼻腔炎などの難治性のアレルギー疾患発症の鍵となるタンパク質を発見し、発症のメカニズムを解明した。このタンパク質に対する抗体の投与がアレルギー疾患の発症を抑える治療法になると期待され、実用化に向けて開発を進めている。

タンパク質

■アレルギー疾患などの鍵となる「タンパク質」を発見

アレルギー疾患などは、CD69分子を発現した病原性免疫細胞が血管から外に出て、肺などの炎症組織に到達することで発症する。研究では、この免疫細胞が血管から外に出るのを手伝う「タンパク質」の存在を発見した。

タンパク質

■アレルギー疾患などの発症メカニズムを解明

このタンパク質(Myl9/12分子)は、炎症に伴って血小板から放出され、血管の内側に付着して「ネット様構造(Myl9 nets)」を構築する。病原性免疫細胞が血管から外に出る際に、「Myl9 nets」が“プラットフォーム”として働いていると考えられることがわかった(「CD69-Myl9システム」と命名)。また、最近日本でも増加している難治性炎症疾患の好酸球性副鼻腔炎患者の解析で、ポリープ中にMyl9 netsが多く確認され、CD69-Myl9システムが慢性炎症疾患の慢性化や難治性の根本要因になっている可能性も示唆された。

■新規治療法の実用化に向けての開発

CD69とMyl9/12分子の相互作用を阻害する抗体を作成し、喘息マウスに投与したところ、喘息がまったく起こらないことがわかった。この動物実験の結果から、これらの抗体はヒトでの難治性呼吸器疾患の画期的治療薬となる可能性が得られた。企業との共同開発研究で、ヒトへの投与が可能なヒト型抗体の作成はすでに成功しており、実用化に向けての開発は着実に進行中。喘息などの難治性呼吸器疾患に苦しむ患者に速やかに効果的な治療法を届けるために、現在さらなる研究を精力的に行なっているところだ。

この成果を報告した論文は、2016年9月16日(米国東部時間)発行の米国学術誌Science Immunologyオンライン版にて発表。また、この研究は国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の革新的先端研究開発支援事業 (AMED-CREST)「炎症の慢性化機構の解明と制御に向けた基盤技術の創出」研究開発領域(研究開発総括:宮坂昌之)における研究開発課題「気道炎症の慢性化機構の解明と病態制御治療戦略の基盤構築」(研究開発代表者:中山 俊憲)、およびAMED免疫アレルギー疾患等実用化研究事業(免疫アレルギー疾患実用化研究分野)における研究開発課題「病原性Th2細胞制御による難治性アレルギー性気道炎症の治療法開発(研究開発代表者:中山俊憲)の一環で行なわれた。なお、AMED-CRESTにおけるこの研究開発領域は、2015年4月の日本医療研究開発機構の発足に伴い、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)より移管された。

 

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