
■連載/一条真人の検証日記
CEATECの時期に合わせて、「TiVo」が説明会を開催した。「TiVo」という名前は日本ではあまり知られていないが、北米では有名なTVビデオレコーディングの会社だ。今から10年ぐらい前に日本市場にも参入するというウワサがあったこともあり、名前だけは知っているという人もいるかも知れない。その時代がTiVoのピークで現在ではユーザーが減少し、ついには買収されることになった。
このTiVoを買収した会社はRoviという名前の会社なのだが、実はRoviはTiVo買収とともに会社名をTiVoに変えてしまった。従来のTiVoのビデオレコーディングビジネスは継続されているので、北米のTiVoユーザーのなかにはTiVoが買収されたのに気がついていない人もいるようだ。
このTiVoがそもそもどんな会社なのか?というと、日本で言うハードディスクビデオレコーダーの会社だ。ハードディスクなんか安く買えるんじゃない?と思う人もいるかも知れないが、それは日本での話、北米では無料で見られるテレビ放送にEPG(電子番組表)というものがない。日本ではテレビのデジタル化に伴い1週間分の番組表を配信しており、この番組表から録画予約や視聴予約ができるようになっている。
最新モデルの『VOLT』は549ドル(ライフタイムのデータサービス料込)で500ギガのハードディスク搭載。
さて、先ほども触れたように北米の無料テレビ放送にはEPGがなく、TiVoはEPGを提供し、それに基づいて番組予約ができるようになっていた。それがTiVoのアイデンティティだったのだが、日本では標準でEPGが提供されるため、参入できる余地がなかったのだ。
それではTiVoを買収したRoviというのはどんな会社か?というと、番組表データや映画のデータ、監督のデータ、俳優のデータなどのメディア関連のメタデータを提供したり、高度な検索技術を提供したり、北米ではFan TVというオンデマンドビデオサービスも展開しているメーカーだ。ハードウェアプラットホームと数百万のユーザーを持つTiVoはRoviにとっても重要なバリューを持つ会社だと言えるだろう。
ここまで読んできても、TiVoなんて関係ないと思った人もいるかも知れない。いや、実はTiVoはみなさんの身近にある会社なのだ。
TiVo(Rovi)は日本で「G-Guide」という名前でEPGビジネスを展開しており、パナソニック、シャープをはじめ、多くのテレビやビデオレコーダーがG-GuideのEPGを搭載している。気がついていないうちにほとんどの日本人はTiVoのサービスを利用しているのだ。今や、ソニー、東芝を除くテレビメーカーなど11社がテレビラインアップのなかで1機種はG-Guideを搭載している。