■「1分だけよろしいですか?」と話しかける
もうひとつ、明日からできそうなものが、習慣12として紹介されている『「1分だけよろしいですか?」と話しかける』。これは、部下が上司に報告、連絡、相談しなければならないときの上司への切り出し方を示したものである。
忙しくて離席が多い上司に対し判断を仰ぎたいことがあり、「部長! 明日の14時って空いてますか?」などと話しかけたところ、「忙しいから、また後にして」などと素っ気ない態度を取られたことがある人も多いだろう。こんなときの模範解答として、著者は「部長、○○の件で、いま1分だけよろしいですか?」と紹介している。これが模範解答例になる理由を、著者は次のように言っている。
できるだけ早く簡潔に「報・連・相」を行うことも部下の役目ですが、上司は聞きはじめたら、自分で納得いくまでは説明をさせ続けます。(中略)つまり、説明をはじめてしまえばこっちのもので、止められるまでまでは何分でも続けて構わないのです。「1分」ということで、いくら上司が忙しくても、断りにくい状況をつくり出せます(※第2章 要点は「3つ」に分ける できる部下の習慣 80ページより)。
「1分だけ」はあくまでも目安時間。同時に、要件も明らかにすれば、上司は忙しい中でも時間を割いてくれるというわけである。この習慣の本質は、相手の立場に立つことや思いやり。人間としてのあり方を問うものになっている。
これら2つの他にも、『いつも机をきれいに保つ』(習慣20)など、すぐにでも実践できるものが同書には多く収録されている。ただ、同書は仕事のパフォーマンスを上げたい人に向けて書かれたと思われるが、マッキンゼーという社名がキャッチーでインパクトも大きいので、その意図がスポイルされ伝わりにくい気がしないでもなかった。
『マッキンゼーのエリートが大切にしている39の仕事の習慣』
アスコム刊/大嶋祥誉著 1300円+税
文/大沢裕司
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