そんなバッカストークから自然に出てきたのが、「アブサン」である!(ここでやっと連載のテーマの五合目に到達……)
「アブサン」と耳で聞いたら、野球マンガ「あぶさん」を思い出す人のほうが多いかもしれない。1973〜2014まで、小学館『『ビッグコミックオリジナル』で連載していたこれだ。
●<あぶさん>
しかし、ビール好き—つまりお酒好きなみなさまであれば、「度数の強いヨーロッパのお酒」ぐらいは知っているだろう。
実は僕もその程度の知識しかなかったし、バーで数回飲んだことはあったが、特段、それ以上深掘りしようとは思っていなかった。しかしこの「アブサン」、デビット・ゾペティさんから教えてもらったら、その世界の深いこと深いこと!
先に僕なりに教わったことと、飲んでみた印象を言っておくとこんなお酒だ。
<すごく強いので水を足して、アブサン3対7水あたりに割る。すると白濁する。味は甘め。そして特筆すべきはその酔い方。麻薬っぽいというか、ふわーっと来る>
原材料の<ニガヨモギ>に含まれている成分<ツヨン>が、そういう幻覚っぽく作用するのだとか。そんなお酒だからなのか、昔は、ゴッホ、ロートレックなど画家、詩人などに愛されたらしい。
などなどの基本事項をまずはウィキから。
●ウィキペディア<アブサン>
ここには、<フランス、スイス、チェコ、スペインを中心にヨーロッパ各国で作られている薬草系リキュールの一つ>と書かれているが、デビッドさん曰くこうだ。
「スイスのは、他の国のとレベルが全然違うんですよ! そもそもアブサンの発祥地がスイスなのです」
特に、チェコのものなど、たんにアルコール度数が高いだけとかで、味は話しにならなにものが多いのだと。そんな製品を出す際に、<バーテンダーがバーカウンターでスプーンに角砂糖を乗せてアブサンを浸し火をつける>なんてパフォーマンスが始まったのではと言っていて、あんなのは、美味しいお酒と別次元であり、邪道中の邪道だと。
味わいや酔い心地と別に、深みがある!と僕が惹かれたのは<アブサンファウンテン><アブサンスプーン>という用具。まずはこの動画がわかりやすいのでどうぞ。
●アブサンファウンテン
こうやって、小さいグラスにアブサン少量を入れておき、その口に小さい穴がいくつか空いたアブサンスプーンをわたす。上には角砂糖を置き、用具(アブサンファウンテン)から少しずつ<水>を落とし加水していく。徐々に白濁していく様を愉しむというのだ。
しかもこのアブサンファウンテンの口が4つとかあって、みんなで集まってこの様子をみつつ飲み交わすと。そんな<アブサンバー>は日本でもあるようだ!
いやー、たんに飲むだけではなく深みがあってかっこいい! 僕がベルギービールで提唱しているキーワード<大人のホビー>は、まさにアブサンも!
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